「教わる力」を鍛える意味

コーチングの世界では、指導を受けて成長する選手を「コーチャブル(coachable)」と表現します。これは単に指示に従うということではなく、指導を前向きに受け止め、自らの成長に活かせる選手のことを指します。スポーツだけでなく、仕事や日常生活においても、この「教わる力」は極めて重要なスキルです。

牧田幸裕氏の著書には、「教わる力」はすべての優秀な人に共通するスキルであると記されています。どれだけ優れた指導者がいても、受け手がそれを吸収し、自らの行動に変換できなければ、成長のスピードは加速しません。逆に、教わる力を備えた人は、指導者のフィードバックを自分の糧とし、飛躍的な成長を遂げます。

私自身、コーチとして多くの選手と関わってきた中で、教わる力の重要性を痛感しています。例えば、同じコーチングを受けても、ある選手はすぐに実践し、次のステップへ進みます。一方で、別の選手は受け流してしまい、変化が見られないこともあります。この違いは、技術や体力だけでなく、教わる力の差にあると感じます。

では、教わる力を鍛えるためには何が必要なのでしょうか。

  1. 素直さを持つ
    まず大切なのは、「素直に受け入れる姿勢」です。コーチの指導に対して「自分には合わない」「もう知っている」といった先入観を持たず、一度しっかりと受け止めることが重要です。自分にとって新しい視点や、気づかなかった点があるかもしれません。
  2. 実践してみる
    教わったことをただ聞いて終わりにするのではなく、実際にやってみることが大切です。特にスポーツの現場では、頭で理解したつもりでも、体で実践しなければ本当の意味で習得したとは言えません。試行錯誤しながら取り組むことで、初めて自分の力となります。
  3. フィードバックを求める
    教わる力のある人は、受け身でいるだけでなく、自らフィードバックを求めます。例えば、「この動きは改善できているか?」「もっと良い方法はあるか?」とコーチに質問する姿勢が成長を促します。自分から問いかけることで、学びの機会がさらに増えていきます。
  4. 失敗を恐れない
    学ぶ過程では、必ず失敗があります。失敗を恐れて行動しなければ、成長の機会を失ってしまいます。重要なのは、失敗から何を学び、次にどう活かすかを考えることです。優れた選手ほど、失敗を受け入れ、それを次の成功へのステップとしています。

さらに、この「教わる力」は選手だけでなく、コーチ自身にも求められるものです。むしろ、学び続ける必要があるのは選手以上にコーチかもしれません。指導者として経験を積めば積むほど、自分の指導方法や哲学に固執してしまうことがあります。しかし、優れたコーチほど「コーチャブル」であり続けます。

つまり、コーチ自身が新しい知識を積極的に学び、他の指導者や選手からのフィードバックを受け入れる姿勢を持つことが不可欠です。選手の成長を促すためには、まずコーチが成長し続ける必要があるのです。

この「教わる力」はスポーツだけでなく、ビジネスや日常生活にも通じるスキルです。職場での上司のアドバイスや、新しい環境での学びにも同じことが言えます。どんなに知識や経験があっても、成長し続けるためには、教わる力を持ち続けることが不可欠です。

私が運営するスポーツバー『FEEL FREE』でも、教わる力を持った人々が集い、互いに学び合う場になればと思っています。スポーツを観ながら意見を交換し、新たな発見や成長のきっかけを得ることも、教わる力の一環です。選手として、社会人として、そして一人の人間として成長するために、この力を意識的に鍛えていきましょう。

SPORTS BAR FEEL FREEオーナー
宮﨑 善幸

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