「美しい」を表現する

昨日、私が担当しているスポーツコーチングゼミナールで、「美しい」というテーマのもとに、3名の学生さんに自由に絵を描いてもらいました。それぞれが感じる「美しさ」を、自分の感性のままに表現してもらうというシンプルな課題でしたが、出来上がった作品はどれも個性にあふれ、非常に興味深いものでした。

描かれた絵は、家のある風景、海に沈む夕日、そして抽象的ににじむ光のイメージ。色使いも構成も異なる3枚の絵でしたが、そこにはひとつの共通点がありました。それは、すべての絵に「太陽」が描かれていたということです。

この共通点に気づいた私は、AIにもこの3枚の絵の分析を依頼してみました。すると、AIもまた「太陽」というモチーフがそれぞれの作品に登場していることに注目し、太陽が人にとっての“命の源”であり、“希望”や“ぬくもり”の象徴として「美しい」と感じられる存在であることを指摘してくれました。

太陽は、私たちにとって身近でありながら、決して手の届かない存在です。それでいて、私たちの生活や命に欠かせないものでもあります。あたたかさ、光、始まり、希望、そしてエネルギー。そうした意味を持つ太陽が、学生たちの「美しい」の中心にあったことに、私は大きな感動を覚えました。

まず一枚目の絵は、レンガ造りの家と果実の実った木、そして明るく輝く太陽が描かれていました。人物が笑顔で立っている姿もあり、どこか懐かしさを感じさせる、あたたかい風景です。これは、安心できる場所、つまり“家庭”や“日常の幸せ”の美しさを描いているように感じました。

二枚目の絵は、海に沈む夕日と、それを見守る大木が印象的でした。夕暮れの空のオレンジと海の青のコントラストが美しく、静かで穏やかな時間の流れが伝わってきます。自然の持つ雄大さと繊細さ、そして一日の終わりを美しいと感じる感性に、心が洗われるような思いがしました。

三枚目の絵は、抽象的な色のにじみの中に浮かぶ太陽が描かれていました。印象派の絵画のような雰囲気で、見る人によって受け取り方が変わる作品です。水のような透明感と、空気のような淡さの中に光が浮かび、作者の内面を映し出すような優しい表現でした。これは、外の景色ではなく、自分の内側にある「美しさ」に気づく感性を表しているように感じました。

この3枚の絵とAIの視点を通して、私は「美しい」という言葉の持つ広がりをあらためて感じました。美しさとは、特別なものや高価なものだけに宿るものではなく、身の回りの自然や日常、そして自分自身の心の中にも存在するのだと思います。

学生さんたちの作品をA Iという最新のテクノロジーで振り返ることで、「美しい」とは感性だけでなく、共通の象徴や人間の深層心理と結びついていることに気づかされました。あらためて、心が温かくなるような作品と出会えたこと、そして学生さんたちの感性に触れられたことに、深く感謝したいと思います。私たち大人が忘れかけている「美しい」の原点が、そこにはありました。

SPORTS BAR FEEL FREE オーナー

宮﨑 善幸

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