アナログ時間の力

これからの時代、デジタル化はますます加速していくでしょう。AI、ビッグデータ、IoT、そしてメタバース。私が勤務している立正大学データサイエンス学部も、まさにデジタル社会の中心で活躍できる人材を育てる場所です。学生たちはデータを分析し、プログラミングを学び、AIの仕組みを理解して未来を描こうとしています。
そんな最先端の現場で、あるAIを専門とする先生が語った言葉が心に残っています。
「デジタルの世界でも、プロジェクトを成功させるにはコツコツ積み上げる根性と仲間と協力するチームワークが大切です」
この言葉を聞いた瞬間、私は「やっぱりそうなんだ!」と心の中で納得しました。どんなに技術が進化しても、デジタルの世界を動かしているのは“人”であるという当たり前の事実。スポーツの世界と何ひとつ変わらないと感じたのです。
ラグビーでも、最新の映像分析やデータ解析を駆使して戦略を立てます。しかし、最後に勝敗を分けるのは人の情熱、仲間を信じる気持ち、そして「心」です。AIがどれだけ正確に予測しても、最後の一歩を踏み出すのは人間です。
だからこそ、私は“アナログの時間”を大切にしたいと思っています。
パソコンに向き合う時間ももちろん必要です。けれども、ふと外を歩く時間、紙の本を読む時間、ノートに自分の考えを自由に書き出す時間、そしてスマホのメッセージではなく手紙やハガキで思いを伝える時間――。それらは効率とは程遠いけれど、確かに“自分の中の何か”を整えてくれる時間です。
デジタルが「スピード」だとすれば、アナログは「深さ」を与えてくれる。
ノートに向かってペンが動かない時間があります。
一見、無駄に思えるその時間こそが、実は思考が深まっている瞬間なのだと思います。頭の中で言葉が育ち、心が整理され、次の行動へのエネルギーが静かに生まれている。アナログな時間には、そんな“内省の力”があります。
AIが文章をつくり、データが未来を予測する時代においても、私たち人間には「感じる力」「想う力」「待つ力」があります。
デジタルが世界を広げるなら、アナログは自分を深く知る時間に導いてくれる。
結局、どちらか一方ではなく、その“バランス”が大切なのだと思います。
速く進む時代だからこそ、立ち止まる時間にこそ価値がある。
私は今日も、ペンを手に、自分と向き合う時間を大切にしています。
SPORTS BAR FEEL FREEオーナー
宮﨑 善幸
