アンラーンから始まる“いい練習”の本質

アンラーンを通じて自己成長を促す方法
先日、ラグビーを始めてまだ数年の選手たちにコーチングをさせていただく機会がありました。
彼ら、彼女らから伝わってきたのは、「うまくなりたい」「成長したい」というまっすぐな気持ちでした。
練習前の教室ミーティングで、私はまず一曲のクラシックを流しました。
それはアントニオ・ヴィヴァルディ作曲《ヴァイオリン協奏曲集〈四季〉より「冬」》です。
そして問いを投げかけました。
「あなたはこの曲を聴いて、何を感じますか?」
ラグビーとは関係のないクラシックをかけたのには理由があります。
それは、スポーツも音楽も同じ“アート”であり、自己表現の場であるということ。
ヴィヴァルディが音で心を表現するように、選手にはラグビーというフィールドで自分を表現してほしい。
そう伝えて、チームミーティングをスタートしました。
次に出した問いは「いい練習とは何か?」です。
試合で勝ちたいなら、いい練習を積み上げるしかない。
だからこそ、ポストイットに「自分が考えるいい練習の定義」を書いてもらい、仲間同士で共有しました。
私自身の“いい練習”の定義は、「強度と密度」です。
試合以上の強度で心身に負荷をかけ、内容の濃い密度ある時間を過ごすこと。
その上で「今日の練習では、私が考える強度と密度を体現する」そして「みなさんも自分が考えるいい練習を体現してほしい」と伝え、グラウンドに向かいました。
練習はまさに《冬》のように、ハイテンポで鋭く突き刺さるようなセッションになりました。
選手たちはそれぞれの全力で自己表現し、互いに刺激し合いながら成長していく姿を見せてくれました。
そしてもう一つの目的は、そのチームを率いる女性コーチの前で、私自身が“曝け出す”コーチングを行うことでした。
成功も失敗も含めてリアルに見せ、そのうえで振り返りを共有し、互いに学び合う時間にしたかったのです。
実際にやってみると、自分の強みや課題が明確になり、改めて“アンラーン(学びほぐし)”の大切さを感じました。
年齢を重ね、経験を積むほど、指導する側に回ることが増えます。
しかし、机上の理論だけでは伝わらない。
自ら最前線で勝負し、学び続ける姿勢こそが、最大の指導だと改めて感じました。
アンラーンとは、過去の成功体験を一度手放し、再びゼロから学ぶこと。
その瞬間こそが、成長の出発点です。
今回、選手たちと共有した「いい練習」は、私にとっても大切な学びとなりました。
この経験を通じて得た気づきを胸に、私もまた日々“いい練習”を積み上げていきたいと思います。
SPORTS BAR FEEL FREEオーナー
宮﨑 善幸
