オフザピッチで心を整えることがパフォーマンスを安定させる

「人間力なくして競技力向上なし。」
これは多くのオリンピック日本代表選手が共通して掲げる信念です。
人間力とは、競技の前に“人としてどう生きているか”を問う力。
日常生活での姿勢や心の在り方が整わない限り、競技場で発揮されるパフォーマンスは安定しません。
スポーツは技術や体力だけでなく、「心のあり方」が結果を左右します。だからこそ、“オフザピッチ”での時間の過ごし方こそが、本当の意味での競技力向上に直結するのです。
オンザピッチとオフザピッチ
「オンザピッチ(On the Pitch)」とは、グラウンド上でのプレーそのものを指します。
練習や試合での姿勢、仲間との連携、勝利に向かう集中力──これらはすべてオンザピッチの要素です。
一方で、「オフザピッチ(Off the Pitch)」は、グラウンドを離れた日常生活のこと。
例えば、挨拶や礼儀、時間の使い方、仲間との関係づくり、睡眠・食事・整理整頓など、日常のあらゆる行動が含まれます。
これらの行動の積み重ねが“心の整い”を生み出し、プレー中の冷静さや判断力を支えます。
試合中のわずかな判断の違いは、実はオフザピッチでの生活習慣の差から生まれることが少なくありません。
だからこそ、スポーツで結果を出したい選手ほど、グラウンド以外の時間を大切にしています。
映画『コーチ・カーター』が教えてくれること
私が授業で学生に観てもらっている映画に『コーチ・カーター(Coach Carter)』があります。
これは実在のバスケットボールコーチ、ケン・カーターの実話をもとにした作品です。
彼は弱小高校チームの監督として、勝つことよりもまず「生徒として、人として正しい姿勢を持つこと」を徹底しました。
練習に遅刻した選手を容赦なくベンチ外にし、成績が一定基準に達しなければ試合出場を禁じました。
その姿勢は選手たちに強い反発を生みましたが、次第に彼らは「勝つことよりも大切なもの」を理解していきます。
つまり、競技での成功は“人としての成長”の延長線上にあるということです。
この映画が伝えているのは、オフザピッチを整えることの大切さ。
カーターコーチのように、グラウンド外の行動や態度が整ってこそ、試合の中で本当の強さを発揮できるというメッセージです。
学生たちはこの映画を通して、スポーツが「人間教育」であることを実感します。
オフザピッチの自分を磨く
オフザピッチとは、単なる“休息時間”ではなく、自分を整えるための“準備の時間”です。
例えば、感謝の言葉を伝える、約束を守る、身の回りを整える──
これらの小さな積み重ねが心の安定を生み、ピッチ上での落ち着きや集中力につながります。
そして、指導者がこれを選手に強制的にやらせるのではなく、指導者自らが見本となり、選手が憧れる存在になることが大切です。
言葉で教えるよりも、背中で示すこと。
コーチ自身が日常を丁寧に過ごし、人間力を体現している姿こそ、選手にとって最も強いメッセージになります。
「この人のようになりたい」と思える指導者の存在が、選手の心を動かし、行動を変えていくのです。
終わりに
「オフザピッチを制する者が、オンザピッチを制す。」
これは競技者だけでなく、指導者や社会人にも共通する真理です。
日常をどう生きるかが、いざというときの力を決める。
だからこそ、私たちは“人としての在り方”を磨く時間を大切にしたいのです。
SPORTS BAR FEEL FREEオーナー
宮﨑 善幸
