キャリアにおけるロールモデルの重要性

大学生が卒業後のキャリアを形成する際に、ロールモデルの存在は非常に大切です。自分のなりたい姿や、先に生きている人をロールモデルにすることで、進む方向がより具体的に見えてきます。言い換えれば、ロールモデルがいないと自分の歩む道を描きづらく、キャリア形成に迷いが生じやすくなります。
ただし、キャリアを積み上げていく過程では、ロールモデルを持つことと同時に、いくつかの「勘違い」をしやすいポイントがあります。今回は、その代表的なものを整理してみたいと思います。
① 自分ができると勘違いする
若気の至りという言葉があるように、大学や社会で少し成果を出すと、自分の実力を過信してしまうことがあります。しかし、その成果は組織の中で生きているからこそ得られたものかもしれず、必ずしも個人の実力だけとは限りません。自分の力を過大評価せず、謙虚に学び続ける姿勢が必要です。
② 短期的な成功に目がいきすぎる
身近にロールモデルがいると、早くそこに追いつきたいと焦るものです。しかし、多くの人が何度も挑戦し、失敗を繰り返しながらたどり着いています。短期的な成果や利益に目を奪われず、長期的な視点を持つことが重要です。
③ 社会を知らないことでの勘違い
社会に出ると、学生時代には想像できなかったさまざまな出来事に直面します。その経験がないからこそ、時に「できる」「言える」と思ってしまうことがあります。しかし、社会に出てから気づく現実が多いのも事実です。ロールモデルを観察する際には、そうした経験値の差を理解する必要があります。
④ ロールモデルへの問いが大事
キャリア形成に迷ったとき、一番参考になるのはロールモデルへの問いかけです。「なぜその選択をしたのか」「どう困難を乗り越えたのか」といった質問は、自分の将来を考えるうえでの大きなヒントになります。特に、身近な人への問いは強い学びを与えてくれます。
⑤ 誰にも負けない強さを身につけるには10年かかる
「ローマは一日にして成らず」という言葉の通り、真に強さを備えた人材になるには最低でも10年の年月が必要です。私自身も23歳のときのコーチングと、35歳を超えてからのコーチングでは、深みも焦点の当て方も大きく異なります。経験を積み重ねた時間が、自分の本当の力を育てていくのです。
若い頃には自信を持つことが大切ですが、同時にそれが過信や慢心につながることもあります。だからこそ、自分のキャリアにおいてロールモデルをどのように捉え、どう学ぶかが重要です。勘違いに気づき、修正しながら進むことで、より確かなキャリアを築くことができます。
最後に、ロールモデルは遠い存在だけでなく、身近な先輩や上司、あるいは友人の中にも見つけられるものです。彼らの言葉や行動から学び、自分の成長に結びつけていくこと。それこそがキャリア形成の土台になるのではないでしょうか。
SPORTS BAR FEEL FREEオーナー
宮﨑 善幸