キャリアデザインのベストシナリオとワーストシナリオ

キャリアを考えるうえで、自分が進みたい道をイメージし、未来のシナリオを描くことはとても大切です。理想のキャリア像を明確にすることは、人生を豊かにするうえでも、今の時間を充実させるためにも役立ちます。目指したい未来を描くことで、今やるべきことがはっきりと見えてきますし、日々の行動にも意味や方向性が生まれます。

しかし同時に、人生はそのシナリオ通りには進まないものでもあります。どれだけ綿密に計画を立てても、予想外の出来事や環境の変化によって、理想が崩れてしまうこともあります。そのときに「ワーストシナリオ」を持っているかどうかが大きな違いを生みます。最低限これだけは確保したい、ここまでなら耐えられるというラインをあらかじめ描いておくことで、不測の事態に柔軟に対応することができます。ワーストを想定することは悲観的になることではなく、むしろ前に進む力をつくるための準備だと私は考えています。

さらにもう一つの視点として大切にしたいのは、「今描いているベストシナリオが、果たして本当のベストなのかは分からない」ということです。現時点で最悪と思える経験も、後から振り返れば「あの出来事があったからこそ今がある」と言える日が必ず訪れます。言い換えれば、理想と思っていたことが実際には自分を縛り、可能性を狭めていた、というケースも少なくありません。つまり、ベストとワーストの評価は時とともに変わっていくのです。

私自身が導き出した結論は、こうです。ベストシナリオを目指すことはもちろん大切だが、最終的には「目の前に現れた選択肢をどう生かすか」がすべてである、と。計画や目標を持ちながらも、予期せぬ出来事や偶然の出会いを柔軟に受け止め、それをベターな選択肢として選び取り、自らの努力や姿勢によってベストに変えていく。その積み重ねこそがキャリアであり、人生を豊かにしていく道筋ではないでしょうか。

そして、最後に強調したいことは「道は必ずつながっている」ということです。一見遠回りに思える経験も、無駄に見える時間も、後になって必ず意味を持ちます。今いる場所と未来の自分は、必ずどこかで一本の線で結ばれている。そう信じて歩んでいけば、不安なときも一歩前に進むことができます。

ベストを目指しながら、ワーストを受け入れる準備をし、目の前にある選択肢を自分の手でベストに変えていく。その姿勢こそが、自分らしいキャリアを築き、豊かな人生を歩むための最も確かな道だと私は思います。

SPORTS BAR FEEL FREEオーナー

宮﨑 善幸

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