コーチングの本質とは? 成長を促す対話の力

コーチングとは一体、何を目的に行うものでしょうか?
私が考えるコーチングの本質は、「選手自身のゴールが達成されること」にあります。コーチが主役ではなく、選手こそが主人公であり、その選手が自らの目標に向かって進み、到達していくプロセスこそが、コーチングの核となる部分だと思っています。
コーチングには様々なアプローチがあります。技術指導、戦術理解、メンタル面の支援など、多岐にわたる方法論が存在します。しかし、これらはすべて「やり方」に過ぎません。大切なのは、それぞれの選手が持つゴールに対して、どのように個別性と一貫性を持って関わっていくかということです。
時にコーチは、自分の言葉や指導によって選手が動いたと感じ、自身の影響力を過信してしまいがちです。しかし、選手が実際にフィールドで判断し、行動し、結果を出すのは選手自身の力です。私たちコーチは、その可能性を信じ、引き出し、支える存在でなければなりません。
そのために必要なのが、「対話」です。コーチングにおける対話とは、単なる会話ではありません。選手が何を感じ、何を望み、何に悩んでいるのかを丁寧に聴き、問いかけ、内面にある思いを整理し、次の行動につなげていく。こうした対話の積み重ねが、選手の成長を加速させていきます。
私はこれまで様々な選手と向き合ってきましたが、最も印象に残っているのは、選手が「自分で気づき、自分で決断し、自分で行動を変えた瞬間」です。そのプロセスに立ち会えることこそが、コーチとしての喜びであり、やりがいでもあります。
もちろん、対話には時間と信頼が必要です。時には焦る気持ちを抑えながら、選手の言葉に耳を傾け、必要な時にだけ問いかける。その忍耐と誠実さが、やがて選手の心を開き、自立へとつながっていくのだと思います。
コーチングとは、教えることではなく、信じ続けること。そして、共に歩むことです。選手が自分の足で歩み、自分の意志で挑戦していく姿を見守り、支える存在でありたい。そう強く思いながら、私はこれからも対話を大切にし、一人ひとりのゴールに寄り添っていきたいと思っています。
SPORTS BAR FEEL FREEオーナーブログ
宮﨑 善幸