ゴールを定め、学び続ける人生の転機

卒業式という場は、多くの人にとって「人生の転機」の一つです。私自身、教育者の立場として学生を送り出すたびに、人生の節目に立つ若者へ何を伝えるべきかを考えます。今年9月の卒業式の祝辞で教員を代表してお話させていただいたメッセージを、ここで改めてまとめたいと思います。
私が卒業生の皆さんに伝えたかったメッセージは二つです。
一つ目は「ゴール設定で全てが決まる」ということ。
二つ目は「ハイパフォーマンスコーチの先行研究から見えてきた、世界で勝ち続けているコーチたちの4つの特徴」です。
まず一つ目の「ゴール設定で全てが決まる」について。人生において「どこを目指すのか」が定まっていなければ、努力は散漫になり、せっかくの時間や力が生かされません。スポーツの世界でも同じです。ゴールがあるからこそ日々の練習に意味が生まれ、逆境に立たされたときにも「自分は何のために努力しているのか」を思い出すことができます。逆に、目指すゴールがないまま流されると、気がつけば望んでいない場所に立ってしまうこともあるでしょう。だからこそ、まずは自分のゴールを定めることが、何より重要なのです。
そして二つ目は、ハイパフォーマンスコーチに関する先行研究から明らかになった共通点についてです。世界で勝ち続けている17名のトップコーチを対象にした分析(Lara-Bercial & Mallett, 2016 など)では、成果を上げ続ける人たちには次の4つの特徴が共通していることが報告されています。
① 明確なビジョンを持っていること
② 環境に適応できること
③ 自分以外の誰かのために尽くす利他の精神を持っていること
④ 学び続けていること
これらは決して特別な才能ではなく、意識して取り組めば誰もが身につけられる姿勢です。特に「学び続ける」という点は、他の3つを支える基盤でもあります。時代や環境は常に変化していきます。その中でビジョンを持ち続けるにも、環境に柔軟に対応するにも、利他的に行動するにも、学びが止まってしまえば成長は止まってしまうのです。
卒業という節目は、学びの「終わり」ではありません。むしろ本当の学びはこれから始まります。学校で得た知識はスタート地点にすぎず、その後の社会生活で自ら学びを積み重ねることで、自分の未来をより豊かにしていくことができます。
卒業は「終わり」ではなく「新しいスタート」です。これから先、皆さんが直面するさまざまな壁も、ゴールを見失わず、学び続けることで乗り越えられるはずです。そしてその過程こそが、人生をより充実させる大切な時間となるでしょう。
皆さんのこれからの人生が豊かで実りあるものになることを、心から応援しています。
改めて、ご卒業おめでとうございます。
SPORTS BAR FEEL FREEオーナーブログ
宮﨑 善幸