ゴール設定がチームの結束を高める理由

人間は本能的に、仲間やチームを求める生き物です。それは、個々の力だけでは成し遂げられない大きな目標や課題を達成するために、他者と協力し合うことが必要だからです。現代社会においても、ビジネスやスポーツなど、多くの場面で「チームワーク」の重要性が強調されます。では、なぜチームが結束し、協力し合うことができるのでしょうか?その答えの一つが、ゴール設定にあります。

ゴール設定こそが、チームを結束させ、共通の目標に向かって一丸となる力を生み出します。これは、心理学者エーリッヒ・フロムの著書『自由からの逃走』においても示唆されています。フロムは、自由と個人の孤独というテーマを掘り下げ、人々が感じる自由の中での不安から逃れるために、共同体の一員としての絆を求めることが多いと指摘しています。個々が自由に生きることはできても、その自由が孤独や不安を引き起こすことがあるため、人々は無意識のうちに「仲間」や「チーム」に帰属し、結びつこうとするのです。

この「仲間を求める本能」は、まさにゴール設定に結びついています。例えば、スポーツチームにおいて、勝利という共通の目標を設定することで、選手たちはその目標に向かって集まり、支え合い、協力し合うようになります。ゴールは単なる結果にとどまらず、その過程で仲間との結びつきや絆を深める力を持っているのです。

フロムはまた、自由が人間にとっていかに重荷となり得るかを描いています。自由には責任が伴い、その責任が個々に重くのしかかることで、逆に自由を拒絶し、集団の一員としての役割を求めることがあると述べています。この考え方は、スポーツチームやビジネスチームにおけるゴール設定の重要性と重なります。ゴールを設定することによって、チームメンバーは共通の目標を持ち、それに対する責任を共有することになります。結果として、個々の自由が集団の目標に統合されることで、孤独感や不安を感じることなく、協力し合うことができるのです。

実際に、私がコーチをしていたときの経験を思い出します。ある大会に向けて、チーム全員で目標を掲げ、その達成に向けて取り組んだことがあります。最初はバラバラだった選手たちも、共通のゴールを目指すうちに、自然と協力し合い、互いに励まし合うようになりました。競技の世界では、個人の能力も重要ですが、チーム全体の結束力こそが勝敗を左右します。ゴール設定がしっかりとされていたからこそ、チーム全員がその目標に向かって一致団結できたのです。

「自由からの逃走」の中でフロムは、自由が与える不安と、その不安を和らげるために人々がどうしても「帰属」することを選びがちだと述べています。これをチームに置き換えると、個々のメンバーは自分自身の力だけではなく、共に目指すゴールに向かって努力することで、個人の自由と責任をチーム全体に委ね、より大きな安心感と結束を感じることができるというわけです。

ゴール設定をすることで、チームはただの集合体ではなく、一つの「共同体」となります。目指すべき目標が明確になり、その目標を達成するために必要な役割を果たすことが求められます。その結果、チームの結束力は高まり、個々のメンバーが自分の役割を全うすることにより、共に達成感を分かち合うことができるのです。

私がオープンしたFEEL FREEも、仲間とのつながりを大切にしています。スポーツを愛する人々が集い、共通の目標を持って楽しむ場所として、ゴール設定が重要な役割を果たしています。例えば、特定の試合に向けた応援イベントや、日々のコミュニケーションの中で「今日も楽しい時間を過ごそう」という目標を持つことが、自然とチームの絆を深めるのです。このように、ゴールを共有することが、自由を感じさせると同時に、絆を深める力を持っているのです。

最後に、ゴール設定は単なる目的地ではなく、そこに至るまでの過程も重要です。チームとして目標を達成するために協力し、困難を乗り越えることこそが、真の結束を生み出します。私たちが日々の仕事や生活で大切にしていることも、このチームの一員としての役割を果たし、共に成長し合うことに他なりません。ゴールを設定し、それに向かって進むことで、私たちは単なる仲間以上の絆を築くことができるのです。

SPORTS BAR FEEL FREEオーナー

宮﨑 善幸

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