プレッシャーと向き合うことで挑戦の心が育まれる

コーチとして、勝負のかかった試合に挑むとき、必ずプレッシャーはかかります。
入れ替え戦、オリンピック予選、そして世界を舞台にした大一番。勝ちと負けで明暗が分かれる場面ほど、その重圧は大きくなります。
今回は、私がこれまでの経験から学んだ「プレッシャーとの向き合い方」についてお話しします。
プレッシャーは悪いものか?
「プレッシャーはパフォーマンスを下げるもの」――そう考える人もいるかもしれません。
ですが、私の答えは違います。
プレッシャーは、自分のパフォーマンスを伸ばし、最大限発揮させてくれる“味方”です。
なぜなら、プレッシャーを感じるのは「本気で何かを目指し、全力で準備してきた証」だからです。
言い換えれば、真剣に向き合っていなければ、それほどプレッシャーは感じません。
だからこそ、プレッシャーが来たときは蓋をせず、むしろ「来たな」と歓迎するくらいでいいのです。
大事なのは、その時にどう向き合うか。私は次の方法を実践してきました。
私のプレッシャー対処法
⓪ 本番以上のプレッシャーを日常にかける
試合当日より厳しい状況や負荷を日常の練習で設定します。
この習慣があると、本番のプレッシャーが相対的に軽く感じられます。
「普段の方がきつい」と思える状態をつくるのです。
① 今やるべきことにフォーカスする
プレッシャーは多くの場合「未来」にあります。
「ミスしたらどうしよう」という、まだ起こっていない出来事を想像して不安になるからです。
だからこそ、未来ではなく“今”に集中し、目の前のやるべきことを淡々と積み重ねます。
② 不安は準備でつぶす
誰でも不安は感じます。
ただ、不安に飲み込まれて手が止まるのは最悪です。
私は「不安を感じたら準備に戻る」と決めています。やれることをやりきると心は落ち着き、メンタルも安定します。
③ やってきたことに自信を持ち、開き直る
最終的には「開き直り」です。
やるべき準備をやりきったなら、あとは信じて出し切るだけです。
この境地に立てるかどうかは、直前の数日ではなく、日々の積み重ねにかかっています。
岡田武史監督の“開き直り”
2010年南アフリカW杯。サッカー日本代表監督だった岡田武史さんは、大会直前まで世間からの批判や不調で大きなプレッシャーを背負っていました。
しかし、ある日チームにこう宣言します。
「もうね、やることは全部やった。これでダメなら監督の俺の責任だ。みんなは思い切っていけ!」
この言葉は選手たちに勇気を与え、重圧を解き放ちました。結果、日本は見事にグループリーグを突破。岡田監督は後に「開き直るには、やれることを全部やったという自信が必要」と語っています。
プレッシャーは挑戦者の勲章
プレッシャーは、あなたが真剣に挑んでいる証であり、成長のきっかけでもあります。
その重さから逃げるのではなく、受け止め、活用することが大切です。
- 日常で本番以上の負荷をかける
- 未来ではなく今に集中する
- 不安は準備でつぶす
- 準備をやりきって開き直る
これらを実践すれば、プレッシャーは恐れるものではなく、挑戦の心を磨く最高の相棒になります。
本番の笛が鳴るその瞬間、「よし、来た!」と笑えるように――プレッシャーと共に歩んでいきたいものです。
SPORTS BAR FEEL FREEオーナー
宮﨑 善幸