ホンモノを感じる大切さ

「ホンモノになるためには、ホンモノを感じる。ホンモノを見る。ホンモノと接する。」
これは私が常に大切にしている考え方です。

たとえば子供の教育を考えるときにも、その重要性はすぐに理解できます。図鑑で動物の写真を見せるよりも、動物園で本物の動物を目の前にし、鳴き声や匂い、動きまでも感じることのほうが圧倒的に学びになります。五感を通して得た体験は、単なる知識以上に心に深く刻まれ、豊かな感性を育むからです。

私自身も「ホンモノに触れること」の大切さを、これまでの人生で何度も実感してきました。その一つがオランダ・アムステルダム国立美術館での体験です。そこではゴッホの自画像を観ることができました。芸術に関して特別な知識もセンスもない私でさえ、その迫力に圧倒されました。教科書や画集で何度も目にしてきたはずの絵が、ホンモノの存在感の前ではまるで別物のように感じられるのです。キャンバスから伝わってくるエネルギーを前に、「自分を表現することの美しさ」こそが人生において大切なのだと心から実感しました。

実際に「ホンモノに触れる経験」が人生を変えることは珍しくありません。スポーツ界でいえば、少年時代にスタジアムで一流選手のプレーを観たことが、その後の人生を決めるきっかけになったという話をよく耳にします。生のプレーを観ることで、テレビや映像では決して伝わらないスピードや迫力、そして選手たちの生き様そのものを感じることができるからです。

ビジネスの世界でも同じことが言えるでしょう。書籍やセミナーから知識を得ることはできますが、実際に第一線で活躍している経営者や専門家と接し、彼らの言葉や行動を間近で感じることが最大の学びになります。「百聞は一見にしかず」という言葉が示す通り、本物の存在には人を突き動かす力があります。

私自身、ラグビーの世界で成長していく過程でも、常に「ホンモノを知ること」が重要でした。指導者になってから、海外の強豪チームと対戦することで「戦うマインド」を学んだり、自分自身の指導スタイルを磨き続けることができました。

つまり、分野が違っても結論は同じです。ホンモノを目指すのであれば、まずホンモノを知り、ホンモノに触れ、そこから学び取ること。知識だけではなく、体験を通じて心と体に刻み込むことが必要です。その積み重ねこそが、やがて自分自身を「ホンモノ」に近づけていくのだと思います。

これからも私は、芸術でもスポーツでも、あらゆる分野のホンモノに触れ、学び、そして自分の活動に活かしていきたいと思います。ホンモノを感じること。それは単に知識や技術を超えた、生き方そのものを豊かにする大切な体験なのです。

SPORTS BRA FEEL FREEオーナー

宮﨑 善幸

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