メンタリングを通じた人生の方向性の変化

「メンタリング」という言葉を聞くと、専門的な指導や体系的なアドバイスを思い浮かべるかもしれません。しかし、私自身は意識してメンタリングを受けていたわけではなく、人生の節目ごとに恩師から助言を受ける機会に恵まれてきました。その助言に耳を傾け、時には迷いながらも選択を重ねた結果、今の自分がいます。振り返ってみると、メンタリングが私の人生の方向性を大きく変えてくれたと実感しています。
進学という選択
高校卒業後の進路選択は、人生最初の大きな決断のひとつでした。就職するか、進学するか。高校時代の恩師に相談したところ、「進学の機会があるなら、迷わず進学したほうがいい」と助言をいただきました。当時の私は、早く社会に出て自立したいという気持ちもありましたが、恩師の言葉を信じ、大学進学を選択しました。大学進学を母に相談したときも、母は「大学は遊びに行くところ、友達をいっぱいつくってきなさい。」と言ってくれました。この言葉に背中を押され、私は新たな環境へと踏み出しました。この選択が、後の人生におけるさらなる学びの機会へとつながっていきました。
大学院進学の決断
大学卒業後は、トレーナー関連企業への就職を考えていました。しかし、大学の恩師から「一年間浪人するつもりで、大学院に進学してみてはどうか?」と提案されました。恩師の言葉を受け、大学院進学を真剣に考えるようになりました。そして、もう2年間、学ぶことで得られる知識や経験の価値を理解し、進学を決意しました。この選択が、私のキャリア形成において大きな意味を持つことになりました。
研究と論文執筆の重要性
大学院修了時には、海外留学を考えていました。ニュージーランドに渡り、語学を学びながら新たな経験を積もうと計画していました。しかし、大学院の恩師から「英語を学ぶ前に、日本語できちんと書く力をつけなさい」と指導を受けました。そこで、研究成果を学会で発表し、論文として投稿する機会を得ることになりました。最初は慣れない作業に苦労しましたが、文章をまとめる力や論理的に考える力が身につき、次第に研究発表の意義を実感するようになりました。
結果的に、大学院で積み重ねた研究業績が評価され、現在の大学教員としての職を得ることにつながりました。もし当時、恩師の助言を受け入れずに海外へ飛び出していたら、今の自分はなかったかもしれません。
メンタリングの本質
こうして振り返ると、私の人生の重要な選択肢には、常に恩師の助言がありました。しかし、それは単に指示を受け入れたのではなく、最終的には自分自身で決断し、選択してきた結果です。メンタリングとは、単に道を示してもらうものではなく、対話を通じて自分の考えを整理し、最適な決断をするための手助けをしてもらうものなのかもしれません。
現在、私は大学教員として、またスポーツの現場で指導者として、多くの方々と関わっています。今度は私自身が、様々な方にメンタリングを提供できる立場になりました。恩師から受けた助言の価値を改めてかみしめながら、皆様がより良い選択をできるように寄り添っていきたいです。
SPORTS BAR FEEL FREEオーナー
宮﨑 善幸