メンタルヘルスを保つための工夫

自分自身が心身ともに健康でいることは、何よりも大切なことかもしれません。
「心」と「体」は切り離せない――これは「心身一元論」という考え方でも示されている通りです。心の健康レベルが下がれば、体の健康レベルも自然と下がります。「病は気から」という言葉は、この現象を端的に表しています。
先日、大学の卒業生が私を訪ねてきてくれました。彼は職場での人間関係、特に上司の言葉遣いや態度が、自分の価値観とどうしても合わないことに悩んでいました。真面目に仕事に取り組もうとしているのに、日々のやり取りの中で心がすり減っていく――そんな状態でした。
私が彼に伝えたのは、意外に思われるかもしれませんが、「逃げた方がいい」という一言です。もちろん、社会人として、大人として、責任感を持って行動することは大切です。時には、自分の改善すべき点を見つめ、我慢して取り組むことも必要でしょう。
しかし、我慢の限度を超えてしまい、自分の心が壊れてしまったら、取り返しのつかないことになります。失った心の健康を取り戻すには、長い時間と大きなエネルギーが必要です。だからこそ、守るべきものはまず自分自身。相手にどう思われようが、自分を守るために「逃げる」という選択肢を持っていいのです。
「逃げる」という言葉は、時にネガティブに捉えられます。しかし、本当は「自分を守るための戦略的撤退」であり、次の一歩を踏み出すための大切な行動でもあります。合わない環境に無理して居続けるより、自分にとって心地よく、力を発揮できる居場所を探す方が、人生は豊かになります。
自分の居場所ではない場所で生活を続ける苦しさと向き合うよりも、自分が自分らしくいられる場所を選びましょう。きっと、あなたの居場所は必ずどこかにあります。そして、その場所で少しずつ自分と向き合い、改善すべきことがあるなら、焦らずに取り組めばいいのです。
「逃げるが勝ち」という言葉があります。これは決して、責任から逃げることや努力を放棄することではありません。むしろ、自分の未来を守るための、勇気ある選択なのです。
心を壊してしまってからでは遅い――だからこそ、自分のメンタルヘルスを守るために、環境を変える勇気を持ちましょう。あなたが笑顔で、健やかに過ごせる日々こそが、最も価値のある人生です。
SPORTS BAR FEEL FREEオーナー
宮﨑 善幸