リーダーとしての成功

リーダーとしての成功とは何か――。これは非常に奥深い問いであり、立場や分野によって答えは異なります。特に私が長年関わってきたハイパフォーマンススポーツの分野においても、「リーダーの成功を何で測るか」という定義は一様ではありません。勝敗だけで語れるものではなく、そこに至る過程や人の成長、そして後に残していくものにまで目を向けなければならないのです。

ここでは私自身の経験を踏まえて、リーダーとしての成功を考えるうえで大切だと感じる五つの要素を整理してみたいと思います。


1. 結果の達成

ハイパフォーマンススポーツにおいて、勝つこと、目標を達成することはリーダーにとっての絶対的な使命です。ただし、その評価はリーダー自身のパフォーマンスではなく、選手たちの成長や発揮を通して下されます。勝利のために数字や成果を追い求めることは必要ですが、それだけでは十分ではありません。そこに至るまでにメンバーがどれだけ成長し、次のステージへつながる経験を積めたか。結果と過程を両立させてこそ、リーダーとしての本当の成功が見えてきます。


2. 自分と仲間が共に成長し続ける

リーダーが一人で成功することはあり得ません。成果を出すためには、メンバー一人ひとりの力を最大限に引き出し、彼らの成長を促す必要があります。そしてそのためには、リーダー自身の成長が不可欠です。常に学び続け、自らを高めていく姿勢を示すことが、仲間を成長させる原動力になります。

「自分がいなくてもチームが機能する」状態をつくれること――それはリーダーにとって最大の成果の一つだと考えます。


3. ビジョンを示し続けること

チームがどこを目指すのか、なりたい姿を描き続けられるかどうか。ゴールを明確に示し、そこに向かって人を導くことはリーダーの役割そのものです。特に困難に直面したときにこそ、希望や方向性を示すリーダーは信頼され、長期的に成果を残すことができます。


4. 信じ続けること

ビジョンやゴールだけでなく、メンバー一人ひとりの可能性を最後まで信じる。その姿勢が深い人間関係を生み、強い組織を築いていきます。信頼は命令や肩書きによって得られるものではなく、日々の誠実な言動や姿勢によって少しずつ積み重なっていくものです。


5. 後に残るもの

私の恩師は「教育者は弟子を残せ、研究者は論文を残せ、指導者は結果を残せ」と教えてくださいました。リーダーにとって本当の成功とは、自分が去った後にチームや組織がより強く、よりよい形で残っていることです。

リーダーとは優秀な人材を残し、研究・探究したものを自分のものだけにせず形にし、この先の目指すべきものとなる「結果」を残す存在です。一時的な勝利も価値はありますが、それ以上に大切なのは未来へ続く基盤を残すことだと思います。


リーダーシップの権威であるジョン・C・マクスウェルは「リーダーシップとは影響力である」と語っています。リーダーの存在が周囲にどのような影響を与え、どんな未来をつくり出すのか。その影響の積み重ねこそが、リーダーとしての本当の成功を形づくるのだと思います。

SPORTS BAR FEEL FREEオーナー

宮﨑 善幸

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