世界を知ることが自分を知ることにつながる

私はこれまで、世界29ヵ国、延べ100回近く海外に行く機会をいただきました。23歳から50歳までの間、各カテゴリーの日本代表チームのスタッフとして、多くの国々で仕事をさせていただきました。競技場での経験はもちろんのこと、現地での生活や人との出会いを通して、私はたくさんのことを学ばせていただきました。

その中で、私が最も強く感じたのは、「世界を知ることで、自分を知ることができる」という真理です。

日本では当たり前にできていることが、海外ではそう簡単にはいきません。例えば、現地の言葉が話せなければ、空港のチェックインひとつとっても戸惑いますし、ホテルでのチェックインやレストランでの注文にも時間がかかります。自分ひとりの力ではどうにもならない場面に何度も直面しました。

その経験を重ねる中で、「人はひとりでは生きていけない」という当たり前のことと「自分は無知である」ことを、より実感として感じるようになりました。日本で生活していると、自分の力だけで生活しているような錯覚に陥りがちですが、実際には多くの人の支えによって生活が成り立っているのです。

現在の日本では、コンビニや飲食店などで外国人の方が働く姿をよく見かけます。彼らは日本語を一生懸命に学び、丁寧で素晴らしいサービスを提供してくれています。その姿を見るたびに、私は自分が異国の地で働くことを想像してみます。もし自分が中国やインドに行って、現地の言葉を覚え、接客をしようとするならば、どれほどの努力が必要になるでしょうか。その大変さを身をもって理解しているからこそ、彼らの努力と献身には頭が下がる思いです。

また、海外での経験は、自分の価値観を見つめ直す機会にもなります。日本で当たり前と思っていた考え方が、海外では通用しないことも多くありました。宗教、文化、時間の感覚、働き方、人との距離感。すべてが違います。違いに触れ、自分の常識を疑うことで、「自分とは何者か」を問い直すことができました。

世界を知ることは、他者を知ることでもあり、自分自身を深く理解することにつながります。だからこそ、若い人たちにはぜひ一度、海外に出てみてほしいと願っています。目的は観光でも、ボランティアでも、仕事でも構いません。大切なのは、異なる文化の中で「自分」を見つめることです。

そして、そうした経験が、今の私の人生や「FEEL FREE」という空間をつくるうえでの土台にもなっています。ここが、日本にいながらも世界とつながり、人と人が支え合う場所になることを願いながら、今日も準備を進めています。

世界を知ることは、自分を知ること。そして日本という素敵な母国をより愛することができます。
それは、人生をより豊かにする学びだと信じています。

SPORTS BAR FEEL FREEオーナー

宮﨑 善幸

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