勝負強さを持つリーダー

「勝負強さ」とは本当に存在するのでしょうか。長年スポーツの現場で指導をしてきた私にとって、この問いは常に自問自答してきたテーマです。
試合において、技術や体力がほぼ互角のチーム同士が対戦したとき、最後に勝敗を分けるものは何か。それは、チームに「勝負強さを持つリーダー」がいるかどうかだと私は考えています。
勝負にはセオリーがあります。ただ気合や根性で立ち向かうだけでは、流れを引き寄せることはできません。勝負強いリーダーは、勝つための準備を日常から積み重ね、いざという時に冷静に判断し、迷わず決断を下せる人です。そして、その判断がチームにとっての「次の一手」へとつながります。
私自身が大学でキャプテンとしてプレーしていた頃、常に意識していたのは「試合で勝つために何をすべきか」ということでした。練習中もただ身体を動かすのではなく、常に実戦を想定していました。本番では、ピンチの場面でも落ち着いて状況を見極め、チーム全体が機能するように具体的な声掛けを意識していました。
たとえば、「次は自陣からキックして敵陣に圧力をかけよう」「ここは前に出てディフェンスのテンポを上げよう」といった声がけが、仲間たちの共通認識となり、チーム全体の意思統一を図るきっかけになりました。その結果、私がキャプテンを務めたシーズン、チームは無敗で昇格を決めることができました。
もちろん、勝負には運や偶然がつきものです。しかし、勝負強いリーダーは、その「運」を引き寄せる行動を日常から積み重ねています。常に準備を怠らず、試合だけでなく、日々の過ごし方や習慣においても隙をつくらない。その姿勢が、いざという場面での落ち着きや判断力となり、勝利を引き寄せるのです。
重要なのは、事前の準備、状況判断、そして決断力。この三つが揃ってこそ、勝負の場面で力を発揮できます。スポーツだけでなく、ビジネスや人間関係のなかでも同じことが言えると思います。特に逆境のときこそ、基本に立ち返り、自分たちがやるべきことに集中することが大切です。
つまり、勝負強さとは、「セオリーを実行しきる胆力」そのものです。そして、その胆力を持つリーダーがいることで、チーム全体に安心感が生まれ、どんな困難な状況でも「乗り越えられる」という信頼が育まれます。
私は、これまでスポーツを通じて多くのリーダーに出会い、また自らその立場を経験してきました。その中で学んだのは、「勝負強さ」は特別な才能ではなく、日常の積み重ねによって磨かれていく力だということです。
これからも私は、その学びを胸に、どんな場面でも「勝負強くあること」を意識し、リーダーとしての在り方を追求していきたいと思っています。
SPORTS BAR FEEL FREEオーナー
宮﨑 善幸