古い考えを捨てて新しい視点を取り入れる方法

「アンラーン(Unlearn)」とは、これまで当たり前だと思ってきた考え方や固定観念をいったん捨て去り、新しい視点や知識を取り入れることを指します。学ぶ(Learn)ことに対して、学び直すために一度“忘れる”ことが必要になるという逆説的な概念です。変化の激しい時代において、自分をアップデートしていくための重要なプロセスと言えるでしょう。
スポーツの世界でも、アンラーンの姿勢は大きな意味を持ちます。例えばコーチングにおいて、自分の専門競技を深く掘り下げ続けることはもちろん大切です。同じ競技のコーチ同士で知識を共有し、専門性を高めていくことは欠かせません。しかし、それだけでは限界があります。勝ち続けるためには、既存の枠を超えて新しい視点を取り入れる必要があるのです。
ラグビーを例に考えてみましょう。同じ集団球技であるサッカー、ハンドボール、バスケットボール、バレーボールからは戦術や戦略のヒントを得られます。フィールドを広く使う動き、数的優位を作るためのポジショニング、攻守の切り替えの速さなど、ラグビーにそのまま応用できる要素は数多く存在します。
一方で、柔道やレスリングといった格闘技からは、コンタクトスキルや体の使い方を学ぶことができます。タックルや接触場面でどう相手を制するか、また試合を重ねながら最終局面でピークパフォーマンスを発揮する準備の仕方などは、ラグビーの実戦に直結します。
さらに全く関係ないように見える競技からも学びがあります。アーティスティックスイミングや新体操は、競技者が「見せる」ことを意識し、観客や審判にどう印象を残すかを追求します。ラグビーのような競技でも、大舞台で選手たちがどのように振る舞い、観客を魅了するかは、チームの価値や存在感を高める上で大切な視点となります。
つまりアンラーンとは、ただ新しい知識を増やすことではなく、「自分の中の当たり前」を一度疑い、ゼロベースで考え直すことです。自分の枠にこだわり続ければ、視野は狭くなり成長は止まります。しかし一歩踏み出して他分野から学びを受け入れることで、新しい発見や創造的な発想が生まれます。
スポーツに限らず、これはビジネスや教育の場面でも同じです。変化に適応する力を持つ人は、自分を縛ってきた古い思い込みを脱ぎ捨て、新しい視点を柔軟に取り込める人です。アンラーンの実践は、未来に向けて成長し続けるための大きな鍵となるでしょう。
SPORTS BAR FEEL FREEオーナー
宮﨑 善幸