問いを設定する力

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1. 予測困難な時代に求められる力

現代は予測が難しい時代です。テクノロジーの発展や社会の変化が激しく、これまでの常識が通用しなくなる場面も増えています。そのような状況において重要なのは、「問いを設定する力」です。

私は大学の教員として、学生にレポートを提出してもらう機会が多くあります。最近では、AI技術の進化により、チャットGPTなどのツールを活用して作成されたレポートが多く見受けられるようになりました。私はAIの活用自体には肯定的であり、むしろ積極的に活用すべきだと考えています。しかし、一方でAIが作成した文章と人間が書いた文章を比べると、そこには明らかな違いがあることに気づきます。それは、文章の「深み」や「行間の違い」といったものです。

AIは大量のデータを学習し、優れた文章を作成することができます。しかし、AIが出力するのは過去のデータの蓄積から導き出されたものであり、根本的な「問い」を設定することはできません。だからこそ、これからの時代を生き抜くためには、「AIが答えを出せない問いを設定する力」が求められるのです。

2. 『問いの設定力』が示す重要性

鳥潟幸志氏の著書『問いの設定力』では、今後の時代において重要となる要素として、「問いを設定する力」「決める力」「リーダーシップ」の三つを挙げています。その中でも、「問いを設定する力」は、あらゆる場面での思考の起点となるものです。良い問いを立てることができれば、物事を深く掘り下げることができ、適切な判断や決断につながります。

例えば、学生にレポートを課す際、単に「○○について説明せよ」という問いを投げかけるのではなく、「なぜ○○は現在の社会において重要なのか?」といった問いを設定すると、思考の方向性が大きく変わります。ただ情報をまとめるのではなく、自分の考えを深めることが求められるからです。これは、仕事や日常生活においても同様です。表面的な問題だけを見るのではなく、本質的な問いを立てることで、より的確な解決策を導き出すことができます。

『問いの設定力』では、問いの質が思考の質を決定し、その思考の質が最終的なアウトプットの質を左右すると述べられています。つまり、どのような問いを立てるかによって、得られる答えの質も変わるのです。

3. スポーツ指導と教育における問いの力

私自身、スポーツ指導者として、また教育者として、多くの選手や学生と関わる中で、問いを設定することの重要性を実感しています。例えば、ラグビーの指導においても、「どうすれば試合に勝てるか?」という問いではなく、「どのようなプレースタイルがチームにとって最適なのか?」と問いを変えることで、選手たちの思考がより深まり、自発的なプレーが生まれます。

問いを設定する力は、一朝一夕で身につくものではありません。しかし、日々の生活の中で意識的に問いを立てることを繰り返すことで、徐々に鍛えられていきます。今後ますますAI技術が発展し、多くの答えが簡単に得られる時代になっても、「何を問うべきか?」を考える力を持つことが、私たちの価値を高める鍵となるでしょう。

だからこそ、私たちは問いを設定する力を磨き続ける必要があります。『問いの設定力』が示すように、適切な問いを立てることができる人こそ、変化の激しい時代においても主体的に未来を切り開いていけるのです。

SPORTS BAR FEEL FREEオーナー

宮﨑 善幸

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