夢を実現するために自分をどう変えるべきか

「夢を実現するために自分をどう変えるべきか?」

この問いに対して、私は「変える」という言葉を「気づく」あるいは「認識する」という意味で捉えています。何かを大きく変えるのではなく、自分の内にある本当の思いや、奥底にある価値観に“気づく”こと。そこからすべてが始まるのだと、これまでの人生で実感してきました。

人は、自分では「本当にやりたいこと」だと思っていても、実は心のどこかで“誰かの期待に応えるために生きている”という、隠された意識を抱えていることがあります。

たとえば、「親の期待に応えたい」「親が望むような人生を歩みたい」と思うこと。
もちろん、親の愛情や期待を否定するつもりはありません。
ただ、私が今、はっきりと感じているのは「親の期待する人生を歩んでも、100%後悔する」ということです。

なぜなら、自分の人生は最終的に“自分で決めるもの”だからです。
どれほど他人のアドバイスや期待があったとしても、「自分が決めた」と思えることこそが、人生を自分のものにする第一歩だと思います。

私は「親の言うことを聞くな」と言いたいわけではありません。
大切なのは、誰かの助言を受けたとしても、「自分で考え、自分で選び、自分の足で歩んでいる」と心から感じられるかどうかです。

だからこそ、「自分が本当にやりたいこと」「本当の自分」に気づくことが、何より重要です。

そのために私が実践しているのが、ノートに自分の思いや感じていること、やりたいことをとにかく書き出すということです。頭の中にあるモヤモヤや希望、情熱や不安を、一つひとつ言葉にしてアウトプットすることで、自分の本心に近づいていけます。書くことで、「わかっているつもり」のことが、本当に「わかる」ようになるのです。

この“自分の内なる声に気づく”というテーマに、強く重なる詩があります。
それが、ウィリアム・アーネスト・ヘンリーの詩『Invictus(インビクタス)』です。
この詩の中には、次のような一節があります。

“I am the master of my fate, I am the captain of my soul.”
(私は我が運命の支配者、私は我が魂の船長である)

この言葉は、私が尊敬する映画好きの恩師がよく口にしていたフレーズでもあります。
東北訛りの英語教師であり、情熱的なラグビーの指導者でもあるその方が、お会いするたびにこの言葉を語りかけてくれたことを、今でも鮮明に覚えています。
その言葉には、深い人生観と信念が込められていて、私の心にも強く残りました。

映画『インビクタス/負けざる者たち』でも、この詩は大きな意味を持っています。
この作品は、南アフリカのネルソン・マンデラ大統領が、アパルトヘイト後の国の分断を乗り越えるために、ラグビーワールドカップで自国チームを支援し、国を一つにしようとする実話に基づいた物語です。

マンデラは、27年間の投獄生活の中でこの詩を心の支えにしていたと言われています。
「どんな状況でも自分の心の自由は奪えない」
「私は私の魂の船長である」
そう信じ続けた彼の姿勢は、指導者としての覚悟と誇りを教えてくれます。

夢を実現するために変えるべきものは、「誰かの期待に応えるために生きる自分」かもしれません。
本当の自分に気づき、「私は我が運命の支配者、私は我が魂の船長である」と自分に言い聞かせながら、自分の人生を歩んでいくこと。

その言葉を、私が今でも深く尊敬している恩師が、よく口にしていたのを思い出します。
すでに他界されたその恩師は、映画『インビクタス』のこの一節を大切にしており、出会った多くの選手たちにも「自分の人生は自分で舵を取って進んでほしい」と繰り返し語っていました。
今思えば、その言葉には、夢を追い続ける人々への強いエールが込められていたのだと感じます。

その道のりはきっと、誰かのためにもなると私は信じています。
なぜなら、夢に向かって自分の意思で進む姿は、きっと誰かに勇気を届けているからです。

SPORTS BAR FEEL FREE オーナー

宮﨑 善幸

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