大事な場面で流れをつかむ勝負師

先日、私が尊敬する指導者の方とミーティングをする機会に恵まれました。
その方は、まさに世界を相手に勝負をしているワールドクラスのコーチで、国際舞台でも数々の実績を残されている方です。勝負どころに強く、「ここぞ」という場面で流れを自分たちのものにする力を持っている、まさに“勝負師”と呼ぶにふさわしい存在です。
その方に試合中の采配・コーチングについて尋ねたところ、その答えがとても印象的でした。
「私は試合中、五感を研ぎ澄まして試合を観ています」
その言葉が、今も私の胸に深く残っています。
選手が発する声、息遣い、グラウンドの音、選手の表情や筋肉の動き。プレーしている選手だけでなく、ベンチにいる選手やスタッフまでも含めて、チーム全体の“空気”や“流れ”を、まさに五感で感じ取りながら、細部にまで神経を行き届かせているのだそうです。
試合中の采配は、言うまでもなく試合の結果を大きく左右します。ハーフタイムにどんな言葉を、どんな「間」で、どんな「トーン」で話すのか。どのタイミングで誰を交代させるのか。あるいは、あえて指示を出さないという選択肢を取る場面もあるかもしれません。
選手はプレーを通じてパフォーマンスを発揮しますが、コーチは采配を通じてパフォーマンスを発揮する存在です。そのコーチの感受性の豊かさ、そして繊細さには本当に驚かされました。そして何より、誰よりもチームと選手を深く愛しているのが伝わってきました。
「大事な場面」を五感で感じ取り、そこに勇気を持って決断できるコーチこそが、「流れを掴む」ことのできる勝負師なのだと、改めて気づかされました。
また、今回の話とは別になりますが、私の知っている「勝負師」と呼ばれるコーチたちは、どの方も「教育者」としての側面を強く持っているように感じています。
勝つことに貪欲でありながら、人を育てることに情熱を注ぐ。そこに、勝負師としての本質と、教育者としての信念の共通点があるのかもしれません。
この点については、また今後のブログでお話しできればと思います。
SPORTS BAR FEEL FREEオーナー
宮﨑 善幸