家庭と仕事の両立とは

私は、好きなことを仕事にしています。
そのため、20代の頃から、時間を忘れるほど夢中になって仕事に取り組んできました。
「時間を割く」というよりも、「楽しくて自然と取り組んでいた」という感覚に近いかもしれません。
「家庭と仕事の両立」とは、非常に多様な考え方があるテーマだと思います。
それぞれの家庭にはそれぞれの事情があり、また仕事にも特性や環境があります。
ですから、何をもって「両立」とするのかは一概に語れるものではありません。
まさに千差万別、人の数だけ答えがあるのだと感じています。
私自身の経験をもとにお話しすると、今のような働き方ができているのは、ひとえに妻の理解があってこそだと思っています。私が「やりたい」と思ったことを応援してくれる妻の存在は、何よりも大きな力になっています。
その理解と応援があるからこそ、私は自分の信じる道をまっすぐに進むことができ、仕事に打ち込むことができています。
とはいえ、私には大切にしている優先順位があります。それは「自分しかできないことを最も優先する」という考え方です。つまり、他の誰にも代わることができない「夫としての役割」「父としての役割」を、何よりも大切にするという揺るがない想いです。
2016年、リオデジャネイロオリンピックにコーチとして帯同したときのことを、今でもよく覚えています。
夢の舞台であるオリンピックに関わるということは、スポーツに関わる者として大きな名誉であり、挑戦でもあります。しかし、もしそのときに「オリンピック」か「家族」か、どちらかを選ばなければいけない状況が訪れたら、私は迷わず「家族」を選ぶと決めていました。
それほどまでに、家族の存在は私にとって大きなものなのです。
もちろん、その考えが成り立つのも、スタッフの皆さんの理解と協力があってこそです。
「仕事と家庭の両立」は決して一人では成し得ません。家庭の理解、そして仕事を共にする仲間の支えがあってこそ、初めて両立が可能になるのだと思います。幸いにも私の家族は、オリンピックへの挑戦を応援してくれました。私がリオの地でコーチとして帯同することができたのは、遠く離れた場所からでも家族のエールがあったからこそです。
そしてその応援が、私にとって何よりも心強い力となっていました。
ここで、私が以前ブログに書いた「死ぬ前に後悔しないための生き方」にも引用させていただいた言葉を紹介します。
Apple創業者のスティーブ・ジョブズ氏は晩年、「もっと家族との時間を大切にしておけば良かった」と語ったそうです。
世界を変えるような仕事を成し遂げた彼でさえ、最後に残した後悔が「家族との時間」であったという事実は、私の心に強く響いています。そして私は、ジョブズ氏がやりたい仕事をやり抜いたからこそ、「家族との時間」を犠牲にしてしまったのだと思います。私もまた、家族との時間を大切にしたいと心から思っています。
それは、ただ一緒に過ごすという意味ではなく、心を通わせ、互いに支え合いながら生きていく時間です。
家庭と仕事の両立に、正解はありません。それぞれの家庭に、それぞれの「かたち」があります。
そしてその「かたち」は、日々の積み重ねと対話の中で、少しずつ形づくられていくものだと思います。
これからも私は、家族との時間を何よりも大切にしながら、自分にしかできない役割を誠実に果たし続けていきたいと思っています。
SPORTS BAR FEEL FREE オーナー
宮﨑 善幸