幸せを感じるための第一歩は自己認識力

言葉にするかしないかは別として、誰もが心のどこかで「幸せに生きたい」と願っています。
しかし日常の中で学生たちの言葉に耳を傾けると、「つまらない」「やりたくない」「希望がない」など、ネガティブな言葉が並ぶ瞬間もあります。私はその度に、人生とは「自分の言った通りの人生になる」と実感します。言葉には力があります。だからこそ、授業の中で直接的ではなくとも、言葉の意味や影響力について伝えることを大切にしています。

幸せを感じるための第一歩――それは「自己認識力(Self-Awareness)」です。
自己認識力とは、自分の感情・思考・価値観・行動パターンを客観的に理解する力のこと。言い換えれば、“自分という存在を自分で観察し、理解しようとする姿勢”です。たとえば、何に怒りを感じ、何に喜びを覚えるのか?どんな瞬間に幸せを感じ、どんな人に安心感を覚えるのか?それを自分自身で把握していくことが、自己認識力を高める行為です。
この力がある人ほど、感情に振り回されず、自分らしい選択ができるようになります。逆に、自己認識が浅いと、他者の価値観や社会の評価に左右され、「本当の自分の幸せ」が見えなくなってしまうのです。

先日の授業では、学生たちに“自分に問いかける時間”をつくりました。
以下のような質問を投げかけ、ノートに静かに向き合ってもらいました。

  • どんな人を尊敬できず、なぜそう思うのか?
  • 今までで最高のリーダーは誰で、その人が何をしたからそう感じたのか?
  • 朝ベッドから飛び起きたくなるような日はどんな日?
  • あと1年しか生きられないとしたら、どんな時間を過ごす?
  • 自分が一番幸せを感じる瞬間はどんな状況?
  • どんなことで緊張し、何にイライラする?

これらの質問は、心理学者タシャ・ユーリック(Tasha Eurich)の著書『INSIGHT(インサイト)』から引用したものです。
この本は、自己認識の科学的研究をベースに、「なぜ多くの人が自分を理解していないのか」「どうすれば深い自己洞察を得られるのか」を解き明かした名著です。著者によれば、自己認識には二つの側面があります。
一つは“内的自己認識”――自分の価値観・情熱・行動パターンを理解する力。
もう一つは“外的自己認識”――他者が自分をどう見ているかを理解する力。
この二つがバランスよく育つと、自己理解が深まり、人間関係もより健全になります。

私が学生たちに伝えたいのは、「幸せは誰かが与えてくれるものではない」ということです。
幸せは、自分を深く理解した先に“自ら感じ取るもの”です。
自分が何を大切にし、どんな環境で生きたいかを知ることができたとき、他人の評価や比較から解放され、心の軸が定まります。

人生の充実度は、自己認識の深さに比例します。
「自分は何を幸せと感じて生きているのか?」
「本当に大切にしたいことは何か?」
その問いを重ねていくことが、幸せを感じるための最初の一歩です。

誰かに答えを求める前に、自分の心に耳を傾けてみる。
そこから“本当の幸せ”が静かに見えてくるのです。

SPORTS BAR FEEL FREEオーナー

宮﨑 善幸

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