思い込みの自分との関係性を変えていく方法

「思い込みの自分」とは、自分の持っている可能性を自ら止めてしまう状態のことです。
「自分には無理だ」「日本人にはできない」「これが限界だ」――このような思い込みは、私たちの成長や挑戦の芽を摘み取ってしまいます。

たとえば、日本人は100mで9秒台は無理だと長く言われてきました。ところが、桐生祥秀選手が9秒98を記録した瞬間から、その「常識」は崩れ、他の選手も次々と9秒台に突入しました。
つまり「できない」という思い込みが外れた瞬間、潜在能力が一気に表に出たのです。

この現象はスポーツだけでなく、人生のあらゆる場面に共通しています。
過去に勝てなかった相手、達成できなかった課題に対して、「どうせ無理」と思ってしまえば、試合が始まる前から心の中ではすでに負けています。
パフォーマンスを左右するのは、技術や才能ではなく、「自分を信じる力」なのです。

陸上400mハードルの元日本代表・為末大さんは、著書『心のブレーキを外す。─「限界の正体」を知り、「思い込みの檻」から抜け出す法』(三笠書房)でこう語っています。

「人間は“できない理由”を探すのが得意。でも、“どうやったらできるか”を考えた瞬間に世界が変わる。」

為末さんは、自身の競技人生を通して「限界とは、自分が勝手に作った思い込みにすぎない」と気づいたと言います。
周囲の評価や社会の常識を受け入れすぎると、自分の枠を自分で決めてしまう。
けれども、“このままの自分でも工夫次第でやれる”と信じたとき、行動が変わり、結果も変わっていくのです。

為末さんは思い込みを外すステップとして、次の3つを挙げています。
① まず、自分の思い込みを自覚すること。
② 他者の成功を「自分にもできる」と捉えること。
③ できない理由ではなく、できる方法を考えること。
この3つの積み重ねが、自分の中の“限界設定”を少しずつ書き換えていきます。

思い込みを変えるとは、言い換えれば「自分との関係性を変える」ことです。
自分を否定するのではなく、「今の自分も可能性を持っている」と信じ直すこと。
“無理”という声が聞こえたら、「それでも一歩進んでみよう」と小さく挑戦すること。
昨日より1回多く走れた、昨日より少し早く起きられた――その小さな積み重ねが、自分を信じる力を育てます。

思い込みの外側には、まだ見ぬ自分の可能性が必ず待っています。
その扉を開く鍵は、他の誰でもない、自分自身の中にあるのです。

SPORTS BAR FEEL FREEオーナー

宮﨑 善幸

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