態度に改善が必要な方へのフィードバック

つい自分の感情を抑えきれず、態度に出してしまう人がいます。スポーツの現場でも、試合で思うようなプレーができなかったり、仲間のミスに苛立ったり、レフリーの判定に納得がいかなかったりすることがあります。そのような時、無意識のうちに表情や態度に出てしまう選手を多く見てきました。

しかし、周囲が気を遣うほど「態度」に出てしまう状況は、チームにとっても本人にとっても、ほとんどがマイナスに働きます。たとえば、仲間がミスをした瞬間に不満そうな表情を見せたり、ボールが回ってこないことに不貞腐れた態度を取ったりすると、チーム全体の雰囲気が一気に悪くなります。試合中に「空気が重い」と感じるチームは、こうした態度が連鎖していることが多いのです。

これはスポーツに限ったことではありません。社会に出ても、理不尽な出来事や思い通りにならない場面はいくらでもあります。そのたびに感情を態度に出し、周囲に自分の機嫌を取らせてしまうようでは、まだ未熟な状態だと言わざるを得ません。どんな場面でも、自分の感情をコントロールできる力が、信頼される人の条件です。

では、コーチとしてそのような態度をとる選手にどう関わるべきか。
私は「しっかり話すこと」が何よりも大切だと思っています。そしてその時に大事なのは、「内容」よりも「心」です。相手の成長を本気で願って伝えること。これが伝わると、選手は少しずつ自分の態度と向き合うようになります。反対に、感情的に叱責するだけでは、選手は心を閉ざしてしまい、改善にはつながりません。

ただし、ここで忘れてはならないのは、「一度のアプローチで劇的に変わることはない」ということです。人の態度や考え方は、長い時間をかけて形づくられたものです。だからこそ、コーチは「信じ続けてアプローチし続けること」が大切です。すぐに結果を求めず、根気強く寄り添う。その姿勢こそが、選手に本当の意味で伝わる瞬間を生み出します。コーチが選手の人間的成長へのアプローチとして特に大切にしていくことは、まさにこの「信じ続けて関わり続ける姿勢」と考えています。

私自身、若い頃は自分の態度がどれほど周りに影響を与えていたか、気づいていませんでした。プレーに集中しているつもりでも、上手くいかない時に不満を表情に出していたと思います。そんな時に、コーチや先輩が本気で話をしてくれたおかげで、「自分の態度がチーム全体に影響している」ということに気づくことができました。

そして、歳を重ねるごとに、自分がかつて取っていた態度を思い出すと、恥ずかしさを感じるものです。人は誰でも未熟な時期があり、成長する過程で少しずつ自分を客観視できるようになります。だからこそ、コーチや上司、仲間が「気づくきっかけ」を与えてあげることが大切です。

態度は、その人の内面がそのまま表れる鏡のようなものです。
一人ひとりが「自分の態度が周囲にどんな影響を与えているか」を考えられるチームや組織は、確実に強くなります。コーチとしての役割は、その気づきを促し、成長のきっかけを作ること。そして、変化を焦らず信じ続けることです。フィードバックとは、相手を責めることではなく、未来の可能性を信じて伝える「愛情ある対話」だと、私は思っています。

SPORTS BAR FEEL FREEオーナー

宮﨑 善幸

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