教えることで学ぶ成長の法則

「教えること」は、実は最も深い学びにつながる行為です。私自身、大学で教員を務めるなかで、そのことを日々実感しています。人に何かを伝えようとするとき、単に知識を持っているだけでは不十分です。その内容を深く理解し、整理し、相手に伝わるように表現しなければなりません。そうすることで、自分自身の理解が一層深まるのです。
一方的に知識を受け取るだけの「ティーチング」は、最も学びが浅いと言われています。最近の大学教育では、「アクティブラーニング」という手法が主流になりつつあります。これは、学生が主体的に学び、ディスカッションやグループワークを通じて知識を自分のものにしていく方法です。その中で最も効果的な学び方が、「他者に教える」というプロセスにあります。
学びのプロセスを段階的に整理すると、次のようになります。
- 知る – 情報として新しいことを知る。
- わかる – 知識を理解し、意味を捉える。
- できる – 実際にその知識を活用し、行動に移せるようになる。
- 教える – 他者にわかりやすく伝え、相手が理解できるように導く。
この中で「教える」段階に到達すると、単なる知識の蓄積ではなく、深い理解が生まれます。自分の中で整理し、他者の疑問に対応することで、新たな視点が得られたり、より本質的な理解に到達したりします。
私は大学で教員として学生に教える立場にありますが、それは同時に、自分自身が最も学ぶ機会を与えられていることを意味します。講義の準備をするたびに、自分の知識の整理が求められ、新しい視点を得ることができます。また、学生からの質問や意見によって、自分では気づかなかった視点に気づかされることも多々あります。
このように、「教えること」は一方的な行為ではなく、相互の学びを生み出すものです。教えた側も、教えられた側も、共に成長できる。この考えを大切にしながら、来週から始まる授業の準備を進めていきたいと思います。
また、これは大学の授業に限らず、日常生活の中でも応用できる考え方です。例えば、職場で後輩に仕事を教えるとき、スポーツの指導をするとき、あるいは子どもに何かを教えるときも同じです。ただ単に知識を伝えるのではなく、相手の理解を促しながら、同時に自分自身の学びを深める機会として捉えることが大切です。
「教えることで学ぶ成長の法則」は、私のこれまでの人生やキャリアの中で常に実感してきたことです。これからも、この考えを大切にしながら、日々学び続けていきたいと思います。
SPORTS BAR FEEL FREEオーナー
宮﨑 善幸