新しいキャリアを始める勇気

何かを始めるとき、そこには必ず「勇気」が必要です。
それが小さな一歩であれ、大きな決断であれ、今までの環境を離れて新しいキャリアに挑戦する瞬間には、多かれ少なかれ緊張感と不安が伴います。

私自身、これまでスポーツの現場や教育の場で多くの人と接してきました。高校生や大学生が「自分は将来どんな道に進むのだろう?」と悩む姿を見てきましたし、現役を引退したアスリートが「次の人生で何をすればいいのか?」と途方に暮れる瞬間にも立ち会ってきました。また、社会人として長年働いてきた中年男性が、ふと「このままの人生でいいのだろうか」と自分に問いかける場面も数多く見てきました。キャリアに関する迷いや不安は、特別な人だけに訪れるものではなく、誰にでも訪れる普遍的なテーマなのです。

私が大切だと考えているのは、「どんなキャリアを積むか」という表面的な選択以上に、「その選択に自分が納得しているかどうか」です。
大学を卒業して一つの会社に勤め上げるのも、立派で素敵なキャリアです。逆に、転職を繰り返しながら少しずつ自分のスキルを磨き、高めていく生き方もまた価値あるものです。さらに、全く異なる分野に思い切って飛び込むという選択肢もあるでしょう。周囲から「なぜそんなことを?」と不思議がられるような決断であっても、本人が「この道で生きていきたい」と心から思えるのであれば、それはかけがえのないキャリアの形となります。

重要なのは、他人がどう思うかではありません。社会の評価や周囲の声に左右されるのではなく、「自分自身が納得できる人生を歩んでいるか」という問いに誠実に答えられることが、キャリア選択における最も大切なポイントです。

新しいキャリアを始めるということは、言い換えれば「自分と深く向き合う」ということです。外の世界に飛び出すための勇気も必要ですが、それ以上に、自分の心の声に耳を傾け、「本当は何を望んでいるのか」を認める勇気が求められます。ときには「失敗するかもしれない」「今まで築いたものを手放すのが怖い」という不安が頭をよぎるでしょう。しかし、その不安と正面から向き合いながら一歩を踏み出すことこそが、本当の意味での「勇気」だと思うのです。

もちろん、新しい道に進めば、必ず順風満帆というわけではありません。壁にぶつかり、迷い、立ち止まることもあります。けれども、その経験の一つ一つが自分を成長させ、結果として「納得できる人生」につながっていきます。たとえ思い描いたゴールにたどり着けなかったとしても、「あの時挑戦したからこそ今がある」と言える自分でいられることが何より大切です。

私がこれまで出会ってきた多くの人の中で、本当に輝いていたのは、地位や収入の高さでなく、「自分の道を選び、納得して自分の人生を歩んでいる人」でした。彼ら、彼女らは周囲の評価に振り回されず、自分自身との約束を守り続けていました。その姿から、私はキャリアとは「肩書き」ではなく「生き方」そのものだと確信しています。

新しいキャリアを始める勇気――それは、未来に向かって踏み出す勇気であると同時に、自分自身と向き合う勇気でもあります。今の自分を見つめ直し、本当に望む方向に一歩を踏み出す。その決断が、あなたの人生をより豊かで意味のあるものにしていくのです。

SPORTS BAR FEEL FREEオーナー

宮﨑 善幸

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