正直なフィードバックをできる関係性

私が担当しているスポーツコーチングゼミナールでは、学生たちに10分間の自由テーマでのプレゼンテーションを課題として出しました。テーマは何でも構いません。自分が本当に話したいことをプレゼンすることで、「伝える力」を磨く狙いがありました。今回は全員にパワーポイントを作成して発表するというルールを設けました。

プレゼン当日、私はまず学生たちに質問をしました。
「プレゼンが得意だと思う人?」
13名の学生の中で、手を挙げたのは一人もいませんでした。実は、これは学生に限ったことではありません。プロコーチを対象にした講習会でも、プレゼンを“得意”と自信を持って言える人はほとんどいません。

続いて私はもう一つ質問しました。
「プレゼンは、これからの人生で必要だと感じる人?」
この問いには、ほぼ全員が手を挙げました。私はすかさず、「どんな場面でも、人はプレゼンをしているようなものです。だからこそ、この機会を大切に挑戦してほしい」と伝えました。

4名のプレゼンテーターはそれぞれの準備をして臨みました。緊張しまくる学生もいれば、堂々と話す学生もいました。しかし共通していたのは、「自分の言葉で伝えよう」とする姿勢でした。

発表が終わると、いよいよフィードバックの時間です。私は笑顔でこう問いかけました。
「フィードバックは甘口がいい?それとも激辛がいい?」
すると、ほとんどの学生が「激辛でお願いします!」と答えました。激辛とは、“オブラートに包まず、正直に感じたことをそのまま伝える”という意味です。

私は正直に伝えました。
「プレゼンのときに動きが多すぎる」
「スクリーンばかり見て、聴き手と目が合っていない」
「話し方に抑揚がなく、単調に聞こえる」
「表現にジェスチャーが少なく、伝わりにくい」
「スライドの文字が小さくて見づらい」

一見すると厳しい言葉ですが、これはゼミ生だからこそ伝えられる“愛あるフィードバック”です。大学3年生という学びの過程において、失敗こそが最大の成長のチャンスです。挑戦が許され、そこから学びを得ることができる環境だからこそ、私はあえて正直に伝えました。

正直なフィードバックには、信頼関係が欠かせません。相手が本気で向き合ってくれていると感じるからこそ、耳が痛い言葉も受け止められる。逆に、関係性が築けていなければ、どんな正論もただの批判になってしまいます。

学生たちは真剣な表情で聴いてくれて、がっかりしながらも次への意欲を見せてくれました。終わった後、「次はもっと良くしたい」「もう一度挑戦したい」という表情が見られました。

正直なフィードバックとは、相手の可能性を信じているからこそ言える“愛のある言葉”です。これからも学生たちが自分を信じ、挑戦し、成長していく姿を見守りながら、正直な言葉を伝えられる関係性でいたいと感じた時間でした。

SPORTS BAR FEEL FREEオーナー

宮﨑 善幸

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