目標設定の重要性と達成に導くコーチング手法

大学で教鞭をとっていると、「自分が教えていることには本当に意味があるのだろうか」と考えることがあります。
それは、私自身が大学生だった頃、授業で学んだ内容の多くを覚えていないという経験があるからです。
もちろん、当時の私には「学ぶ姿勢」が不足していたことや、真剣に授業に向き合っていなかったという反省点もあります。
ですが、そもそも一方的な講義を受動的に聞いているだけでは、記憶に定着する確率が低いという研究も存在します。たとえば、ラーニングピラミッド(学習定着率の理論)によれば、講義形式での学習はわずか5%しか記憶に残らないと言われています。一方で、グループディスカッションや実践的な活動を伴うアクティブラーニングでは、定着率は50%以上に跳ね上がるとされています。
このことは、スポーツ指導にも通じる部分があります。
コーチの役割とは、選手の「ゴール」をともに目指していくことにあります。
ここで大切なのは、「コーチのゴール」ではなく、「選手自身のゴール」であるという点です。
そのために、まずは選手自身がどのようなゴールを設定しているのかを知る必要があります。
そして、その目標に向かって自分の力で進んでいけるように、質問や対話を通じてサポートしていくのがコーチングの役割です。
昨日、私は大学で指導させていただいている選手たちに、3つの課題を提示しました。
それは、何かを一方的に押しつけたり、特定の考え方に縛りつけたりするためではありません。
また、誰かのためだけに「頑張る」人生ではなく、「自分自身の人生」を歩んでいくための問いかけでした。
私の目的は、選手たちが「いま、どこに立っているのか」を知ること、そして一緒に「どこへ向かうのか」を明確にすることです。すなわち現在地と目指す場所・ゴールを知ることです。
選手たちが目指す場所を理解し、その道のりをともに歩んでいきたいという思いがあります。
目標を達成するのは、最終的には選手自身です。
どんな手法が最適かは人によって異なり、正解が一つであるとは限りません。
ただ一つ確かなのは、選手の「ゴール」を理解し、その実現のために「何にフォーカスするか」「何を乗り越えていくのか」を一緒に考えることこそが、コーチに求められる大切な仕事であるということです。
選手の人生がより豊かになると信じ、その主体的な成長を必要な時にいつでも支える存在でありたい。
それが、私の目指すコーチのあり方の一つです。
そう考えると、私にとっての「コーチ」は「選手」であり、日々身近で課題を提示してくれる存在は、他ならぬ「娘」でもあるのだと気づかされます。
SPORTS BAR FEEL FREEオーナー
宮﨑 善幸