緊張を味方につけるプレゼンのマインドセット

私はよく「落ち着いて見える」「堂々としている」と言われますが、実はとても緊張しやすいタイプです。幼稚園のころは緊張のあまり何度もトイレに行き、適性テストを受けられなかったほどです。小学生や中学生の頃も、緊張することが嫌で、人前で話すことをなるべく避けてきました。

今でも「人前で話すのが好きか」と聞かれたら、迷わず「嫌いです」と答えます。ただし、「得意か不得意か」と聞かれたら、「得意です」と言っています。この差はどこから生まれたのか。それは、高校時代にラグビー部のキャプテンを務めた経験が大きく影響しています。

キャプテンは、毎日のように仲間の前で話す機会があります。さらに、壮行会や保護者会など、人前で話す場面が次々にやってきます。緊張している暇はなく、「やらなければならない」状況に何度も立たされるうちに、自然と慣れていきました。

「習うより慣れろ」という言葉の通り、プレゼンも回数を重ねることが何よりの学びになります。緊張していても、準備をしっかりしていれば、ちゃんと伝えることができます。そして何より大切なのは、「緊張から逃げないこと」だと気づきました。

緊張を避けていても、いつかまた同じ状況が訪れます。大事なのは、緊張していることを自覚し、その中で「今、自分が何をするべきか」に集中することです。「何を、誰に、どう伝えるか」を考えて準備することで、不安は少しずつ和らぎます。原稿に頼るよりも、自分の言葉で話すことが、結果的に伝わるプレゼンになります。

私は、その場の空気を感じながら話すことを何度も繰り返し、少しずつプレゼンが得意になっていきました。今では、ナショナルコーチアカデミーという、各競技のトップコーチが集まる場で、プレゼンテーションの講師を務めさせていただいています。

「立場が人を育てる」
「習うより慣れろ」
「緊張と向き合う」

この3つを意識することで、プレゼンに対するマインドセットが大きく変わりました。緊張するからこそ準備ができるし、緊張しているからこそ丁寧になれます。緊張を受け入れ、それを味方につけて、自分の思いを伝える力に変えていく――。それが、私のプレゼンに対する向き合い方です。

SPORTS BAR FEEL FREEオーナー

宮﨑 善幸


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