美味しい料理がもたらす喜び

私は、食べることが大好きです。
どれだけ忙しくても、美味しい食事を囲む時間は、心も体も豊かにしてくれる大切なひとときです。
もし、栄養素がすべて詰まったカプセルを飲むだけで健康が保たれる時代が来たとしても、私は迷わず“食べる”という行為を選ぶでしょう。そこには、単なる栄養補給では得られない「喜び」や「温もり」があるからです。五感を通して味わい、香りを楽しみ、会話を弾ませながら心を満たす――それが料理の持つ力です。
そして、どんなに豪華な料理でも、一緒に食べる相手によって、その味わいは大きく変わります。
「何を食べるか」よりも「誰と食べるか」が、食事の満足度を左右することも少なくありません。だからこそ、食事は味だけでなく、雰囲気や会話、相手との関係性まで含めて“ひとつの時間”として大切にしたいものです。
かつて、母に料理をするときの心がけを尋ねたことがあります。
そのとき母は、「一番大切にしているのは“祈り”」だと答えました。
「美味しいものを食べて元気になってほしい」
「食材への感謝を忘れず、大切に使う」
「食べてくれる人の笑顔を想像して仕上げる」
こうした気持ちは目には見えませんが、確かに料理の味に表れます。
同じレシピ、同じ材料で作っても、その日の心の状態や込めた想いによって、味は不思議と変わるものです。だからこそ、“心を込める”という姿勢は何よりも大切だと感じています。
美味しい料理は、ただ空腹を満たすだけではありません。
人と人との距離を縮め、思い出をつくり、時には落ち込んだ心を癒やしてくれます。誰かとテーブルを囲み、笑顔が生まれる――それは人生を豊かにしてくれる時間です。
食事は日常の一部でありながら、その一回一回がかけがえのない瞬間です。
忙しい毎日の中でも、ほんの少し立ち止まって、「誰と食べるか」「どんな気持ちで食べるか」を意識するだけで、その時間はより価値あるものになります。
どこかで疲れを感じたとき。
誰かとの関係を深めたいとき。
心からの「ごちそうさま」を伝えたいとき。
そんなときは、美味しい料理とともに、ゆっくりと心を満たす時間を過ごしてみてください。
そのひとときが、人生に喜びをもたらす大切な一場面になるはずです。
SPORTS BAR FEEL FREEオーナー
宮﨑 善幸