自己実現を達成した瞬間の気持ち

 自己実現を達成した瞬間、多くの人は「嬉しい!」と感じるのではないかと思います。しかし、私の場合はそれよりも「ホッとする」という感情が強く湧き上がります。

 FEEL FREEをオープンするまでの道のりは、決して平坦ではありませんでした。スポーツを通じて多くの経験を積み、さまざまな人との出会いを重ねながら、自分の理想とする場所を形にすることを目指してきました。しかし、夢を実現する過程では不安や葛藤も多く、「本当にやり遂げられるのか?」と自問自答する日々が続きました。

 そんな中で、FEEL FREEの開店準備を進め、コンセプトを固め、仲間と協力しながら少しずつ形にしていく過程は、とても充実した時間でした。しかし、同時に大きなプレッシャーもありました。「この場所が本当に多くの人にとって居心地の良い空間になるのか?」「自分が思い描いた理想を実現できるのか?」という思いが常につきまとっていたのです。

 そして、ついに開店の日を迎えました。多くの仲間が集まり、応援してくれる人たちの笑顔を見ることができたとき、ようやく「やっとここまで来た」という安心感に包まれました。もちろん、嬉しさもありましたが、それ以上に「やるべきことをやり遂げた」という感覚が強く、「ホッとする」という気持ちが込み上げてきたのです。

 これは、私がこれまで経験してきた他の自己実現の瞬間にも共通している感覚です。例えば、大学時代にラグビー部のキャプテンとしてチームを率い、リーグ優勝を果たしたときも、嬉しさより先に訪れたのは安堵感でした。選手として、またコーチとしても同じような経験を何度もしてきました。「やった!」という興奮よりも、「やっと終わった」「やるべきことをやれた」という気持ちの方が大きいのです。

 この感覚は、長い時間をかけて積み重ねてきた努力や責任感があるからこそ生まれるものだと思います。夢や目標に向かって全力を尽くすと、達成した瞬間には感情が爆発するのではなく、むしろ肩の荷が下りるような感覚になるのかもしれません。

 とはいえ、自己実現の旅は終わりではありません。FEEL FREEの運営はまだ始まったばかりで、これからも多くの挑戦が待っています。しかし、ひとつの大きな目標を達成したことで、新たな目標に向かってまた歩みを進めることができます。そして、次の目標を達成したときもきっと、私は「嬉しい!」よりも「ホッとした」と感じるのだろうと思います。

 それでも、この「ホッとする」瞬間こそが、私にとっての自己実現の証なのかもしれません。夢を追い続ける中で、多くのプレッシャーや困難に直面しながらも、それを乗り越えて「やり遂げた」と思える瞬間こそが、次の一歩を踏み出すための原動力になるのです。

 これからも、FEEL FREEを通じて多くの人と出会い、さまざまな挑戦を続けていきたいと思います。そして、またいつか「ホッとする」瞬間を迎えることができるよう、日々努力を重ねていきます。

SPORTS BAR FEEL FREEオーナー

宮﨑 善幸

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