自己認識が変化した人生の転機

私のゼミナールでは、特別講師として、私が10年以上前にご一緒にお仕事をさせていただいた方をお招きしました。スポーツのプロフェッショナルな現場で活躍されている方であり、私にとっても同志と呼べる存在です。私の大切な学生さんにご自身の経験を語ってくれた内容がとても深く、今の自分自身にも響くものでした。
なかでも印象に残ったのは、講師自身が語った「しくじり先生」、すなわちご自身の若い頃の反省のお話です。
彼がキャリアの初期に経験した失敗談は、「自己認識」がいかに人の働き方や人生の在り方を左右するかを示していました。若い頃の彼は、自分のやり方や価値観が絶対に正しいと信じて疑わなかったそうです。そのため、他人のやり方を受け入れることができず、「自分がやった方が早い」「自分がやるしかない」と仕事を抱え込むようになり、結果としてチームで働いているはずなのに、どんどん孤立していったと話してくれました。
自分自身の「正しさ」にとらわれ、気づけば「ひとりぼっちで働く状態」になっていた。それがまさに、彼にとっての“しくじり”であり、今振り返ればその頃が一番つらかったと語っていました。
そんな彼にも転機が訪れました。ある時、自分がどれだけ他人を遠ざけ、自分の限界を広げられないままにしていたかに気づいたのです。そして、「人に頼る・相談する」「違いを受け入れる」「信じて託す」ことが、自分を成長させる道なのだと認識が変わったと言います。
その気づきが、彼の人生を大きく変えました。仕事のスタイルも、人との関わり方も、そして自分の心の持ちようも変わり、チームの力を信じて協働する楽しさを知ることができたのです。
講義の最後に、彼はこんな言葉を残してくれました。
「速く行きたければ一人で行け。遠くへ行きたければみんなで行け。」
これはアフリカのことわざとして知られており、まさに今の時代、そしてチームで活動する私たちにとって非常に示唆に富んだ言葉だと思います。
自己中心的な成功ではなく、仲間とともに歩むことでこそ、より遠くへ行ける。より大きな夢を実現できる。そのためには、まず自分自身の思い込みに気づき、自己認識を変化させることが必要だと、改めて実感しました。
今日の講義は、学生にとっても私自身にとっても「気づき」の多い貴重な時間となりました。どんなに経験を積んでも、人は常に学び続ける存在でありたい。その想いを胸に、また明日から一歩を踏み出していきたいと思います。
SPORTS BAR FEEL FREEオーナー
宮﨑 善幸