自己認識力が高まった瞬間
コーチとしてのキャリアが始まった当初、私は自分の弱みを他者に見せることができませんでした。自信を持ち、常に完璧な姿を見せることが選手やスタッフの信頼を得る唯一の方法だと信じていたからです。しかし、その思い込みが実は自分自身を苦しめ、チームにとってもプラスにならないことに気づくまでには、時間がかかりました。
ヘッドコーチとしての限界を知る
転機は、母校である大学のヘッドコーチを務めたときに訪れました。チームの指揮を執り、全体を導いていく立場である一方で、解決できない課題や判断に迷う瞬間が次々と押し寄せてきました。
「一人ではこの状況を乗り越えられない」
そう実感した私は、意を決してスタッフに自分の弱みを打ち明け、助けを求めました。驚いたことに、スタッフは私の話に耳を傾け、次々と具体的なアイデアや解決策を提示してくれたのです。それは、自分の弱さを認めたからこそ得られた支援でした。
良いリーダーとは何か
この経験を通じて学んだのは、「良いリーダーとは、他者の意見を聴ける人であり、自分が他者からどう見られているかを理解している人」ということです。自己認識力が高いリーダーは、自分の限界を正直に受け入れ、それを補うための行動を取ることができます。そして、そのプロセスがチーム全体の力を引き出す鍵になるのです。
外的自己認識を高める重要性
自己認識力には「内的自己認識」と「外的自己認識」があります。内的自己認識は、自分の感情や価値観を理解する力。一方で、外的自己認識は、他者が自分をどう見ているかを理解する力です。特に、外的自己認識を高めるためには、他者からのフィードバックを受け入れることが不可欠です。
私は選手との1on1ミーティングを積極的に行い、時には自分の決定や指導方法への批判も耳を傾けました。最初は辛く感じることもありましたが、それが結果的に自分の成長につながりました。「自分がこう考える」という視点だけでなく、「相手がこう感じる」という視点を持つことの大切さを学んだのです。
批判を受け入れることで見えた新しい自分
他者からのフィードバックを受け入れることは、簡単なことではありません。しかし、それを乗り越えることで、自分の中に新たな視点や発見が生まれます。批判は、自分を否定するものではなく、成長のきっかけになるものだと捉えることが重要です。
自己認識力が「FEEL FREE」にも生きている
こうした経験は、現在「FEEL FREE」の運営にも生かされています。この空間では、誰もが自分を偽らずに、自由に楽しむことができるようにしたい。そのために、まずは私自身が常に自己認識力を高め、他者の意見に耳を傾けることを大切にしています。
自分の限界を知り、他者の力を借りる勇気を持つ。それが、本当の成長につながると信じています。
これからも、より多くの人とともに成長し、「FEEL FREE」を特別な場所にしていきたいと思います。