1-0-4 なぜ今、関わり方が問われているのか

本気で結果に向き合えば向き合うほど、ある事実がはっきりと浮かび上がってきます。
それは、「関係性の質が、結果の質に直結する」ということです。

どれほど高い能力や戦略を備えていても、関係性が崩れていれば、人は力を発揮できません。一方で、関係性の質が高い環境では、人は安心して挑戦し、失敗し、学び続けることができます。私たちはチームや職場、家庭、社会など、常に他者との関係性の中で生きています。

しかし、ここで一つ立ち止まって考えたいことがあります。
他者との関係性以前に、最も重要な関係性があるのではないか。
それが「自分自身との関係性」です。

人はつい、外に答えを求めてしまいます。
「どうすれば評価されるのか」「どうすれば信頼されるのか」。
もちろんそれらは大切な問いです。けれど、自分自身との関係が不安定なままでは、どれだけ関わり方を工夫しても、関係性は長続きしません。

自分の弱さをどう扱っているか。
不安や迷いにどう向き合っているか。
できない自分を、どこまで受け入れられているか。

文芸評論家の**小林秀雄は『弱さの力**』の中で、人の成長や人間理解において「弱さ」から目を背けることの危うさを語っています。人は強くあろうとするほど、自分の弱さを隠そうとし、結果として他者との本当の関係性を失っていく。小林は、弱さを否定するのではなく、引き受けるところに人間の深みがあると示唆しています。

自分の弱さを認められる人は、他者の弱さにも寛容になれます。
自分を責めすぎない人は、他者を追い込みすぎません。
自分の未完成さを受け入れている人は、他者の成長を待つことができます。

これは甘えではありません。むしろ、自分を正しく理解し、受け止めているからこそ生まれる強さです。小林秀雄が語る「弱さの力」とは、弱さを克服することではなく、弱さを抱えたまま生きる人間の姿勢そのものなのだと思います。

こうした「自分との関係性」が土台にあってこそ、他者との関係性は深まっていきます。そして、この考え方を実践のレベルで体現している関わり方が、メンタリングです。

メンタリングとは、正解を教える関係ではありません。
相手の未熟さや迷いを前提として受け止め、成長の過程に寄り添う関係性です。

経験あるメンターは、相手の力量を見極め、努力すれば届く課題を設定します。
途中で投げ出しそうな場面でも、答えを奪わず、最後まで見届けます。
そして、メンティーが積み重ねた試行錯誤を、必ず「形」として残します。

そこにあるのは支配でも指示でもなく、「信じ続ける関係性」です。
自分の弱さを否定されずに受け止めてもらえた経験は、やがて「自分を信じる力」へと変わっていきます。

成果主義やスピードが優先される時代だからこそ、私たちは改めて問い直す必要があります。
結果を急ぐあまり、人との関わり方を雑にしていないか。
強さばかりを求め、弱さに耳を傾ける余白を失っていないか。

他者との良い関係性は、テクニックでは生まれません。
その出発点は、いつも「自分との関係性」です。

自分の弱さを知り、受け入れ、共に歩む。
そこから生まれる関わり方こそが、人を育み、結果を育てていくのだと私は感じています。

SPORTS BAR FEEL FREEオーナー

宮﨑 善幸

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