2-3-9 メンタリングは「手法」ではなく「在り方」である

メンタリングとは、メンティ(相談者)の状況や成長段階に応じて、コーチング、ティーチング、モデリング、カウンセリングなどを柔軟に使い分けながら、長期的な視点で成長を支えていく営みです。目の前の課題解決だけでなく、その人がどのように成長し、どのような人生を歩んでいくのかに寄り添い続けることが本質にあります。

そのため、メンターには自身の経験に加え、新たな知識や価値観を学び続ける姿勢が求められます。しかし、どれだけ多くの手法を学び、スキルを磨いたとしても、それ以上に重要なものがあります。それが「在り方」です。

なぜなら、人は言葉や技術以上に、その人の存在そのものから影響を受けるからです。

「コーチが言っていることはやらないが、コーチがやっていることをやる」

この言葉は、メンタリングの本質を的確に表しています。親と子の関係にも通じるように、人は誰かの言葉以上に、その人の姿勢や行動から多くを受け取ります。どれだけ優れた質問力や傾聴力、承認のスキルを持っていても、その人自身の生き方や姿勢に一貫性がなければ、相手の心に届くものは限定的です。

コーチやメンターが与える影響は、数値で測ることはできません。しかし確かに、関わる人の思考や行動、さらには人生にまで影響を及ぼしています。その影響は「与える」というよりも、「届ける」ものです。意図していなくても、その存在や日々の振る舞いを通じて、何かが確実に相手に届いています。

「言うこと」よりも「やること」。つまり、行動こそが最も強く届きます。

指導の現場では、「挑戦すること」「自分を信じること」「あきらめないこと」といった価値が語られます。しかし、その言葉が本当に相手に届くかどうかは、語る側の在り方にかかっています。言葉と行動が一致しているかどうかが、信頼を生み、影響の質を決めていきます。

かつてコーチングを学ぶ中で、次のような言葉が記されています。

「選手は必ず変わる。必ずできる。コーチがあきらめない限り、選手はあきらめない。選手を信じることで、選手は自立する。選手は少しずつ、少しずつ変わる。期待しないで信じきる。そして、心から見守り、自分のすべてをぶつける」

この言葉が示しているのは、技術ではなく姿勢です。変化は一瞬で起こるものではありません。時間をかけて、少しずつ積み重なっていきます。その過程を支えるのが、メンターの「信じる」「見守る」という在り方です。

コーチとは単に教える存在ではありません。共に挑み、共に変わろうとする存在です。だからこそ、挑戦を求めるのであれば、まずその姿勢が自らの行動として示されている必要があります。

人は言葉以上に、その人の背中から学びます。そこにある姿勢や覚悟、日々の積み重ねが、相手に勇気や希望として届いていきます。

メンタリングにおいて本当に見るべきものは、手法ではありません。
その人がどのように在るか——その「在り方」そのものが、すべてを決めるのです。

SPORTS BAR FEEL FREEオーナー

宮﨑 善幸

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