5-12-4 支え合う関係を育てる

信頼を深めるために必要な行動とは、何でしょうか。

私は、その一つが「信じ続けること」だと考えています。

人を信じることは、決して難しいことではありません。物事が順調に進んでいるとき、求めている結果が出ているとき、相手の良い面が見えているときには、自然と信じることができます。

しかし、本当に難しいのは、思い通りにいかないときにも信じ続けることです。

失敗が続いたとき、目標と現実に差が生まれたとき、相手の言動に疑問を感じたとき、人の気持ちは揺らぎます。それでも、もう一度相手を信じることを選び直せるか。信頼とは、その繰り返しによって少しずつ育っていくものです。

支え合う関係をつくるうえで大切なのは、「共に目指すゴール」を明確にすることです。

人は、同じ方向を見ているときに強くつながることができます。目の前の失敗や意見の違いだけに意識を向けると、不満や疑いが大きくなってしまいます。しかし、「自分たちは何を目指しているのか」「どのような姿になりたいのか」を共有できていれば、困難な状況でも互いを支える理由を見失わずにいられます。

ただし、同じゴールを掲げただけで、信頼や絆が生まれるわけではありません。

大切なのは、仲間に何かを求める前に、自分が何をするかを考えることです。自分から声をかける。相手の話を聴く。決めたことを最後までやり切る。困っている人がいれば手を差し伸べる。そうした一人ひとりの行動の積み重ねが、支え合う関係の土台になります。

また、支え合うためには、「誰かに頼る勇気」も必要です。

責任感の強い人ほど、すべてを一人で抱え込もうとします。周囲に迷惑をかけたくない、弱いと思われたくないという気持ちから、助けを求められなくなることもあります。しかし、一人で担えることには限界があります。

自分の状況を正直に伝え、「力を貸してほしい」と言葉にすることは、弱さではありません。それは、相手を信頼しているからこそできる行動です。そして、助けを求められた人が、その思いを受け止めて支える。この関係が、単なる知り合いや友人を「仲間」へと変えていきます。

支え合う関係は、楽しい時間だけでつくられるものではありません。苦しいとき、結果が出ないとき、誰かが失敗したときに、どのような行動を選ぶかが問われます。

うまくいかない人を責めるのか。それとも、その人の可能性を信じ、もう一度立ち上がれるように関わるのか。意見の違いを否定するのか。それとも、相手の良いところを認め、互いの考えを生かす方法を探すのか。

日常の小さな選択が、関係性をつくっていきます。

メンタリングも、特別な立場にある人が一方的に誰かを支えるものではありません。あるときは自分が相手を支え、別のときには自分が支えてもらう。その役割は、状況によって入れ替わります。

だからこそ、「支える側」と「支えられる側」を固定しないことが大切です。誰もが悩み、迷い、立ち止まることがあります。同時に、誰もが誰かの力になることもできます。

信頼は、突然生まれるものではありません。

信じると決めても、迷うこともあれば、疑うこともあります。それでも相手とのゴールを確かめ、対話を重ね、もう一度信じることを選び直す。その姿勢が相手の心を動かし、やがて支え合う関係へとつながっていきます。

一人で頑張り続けるのではなく、互いの力を借りながら前に進む。

そのような関係を日常の中で育てていくことが、メンタリングを特別な時間で終わらせず、私たちの文化として根づかせる第一歩になるのです。

SPORTS BAR FEEL FREE オーナー

宮﨑 善幸

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