豊かさを感じた瞬間のエピソード

人生の豊かさとは何か?
私は、それは「喜怒哀楽」を感じる瞬間にこそあると強く思います。
人間だからこそ抱く感情の喜怒哀楽。喜びがあるからこそ怒りも生まれ、悲しみの先には楽しさが待っている。これらの感情があるからこそ、人生は豊かで、心が動かされる瞬間に意味を見出すのではないでしょうか。楽しさや喜びだけで人生が豊かになるわけでなく、感じる感情の豊富さが大切だと感じています。
そんな私が「人生は本当に豊かだ」と感じた瞬間があります。
喜び:夢をともに実現した瞬間
2016年のリオデジャネイロオリンピックアジア予選。私がS&Cコーチを務めた女子セブンズラグビー日本代表は、アジア代表権を獲得するためのアジア予選。厳しい戦いの中、選手たちが持てる力をすべて出し切り、世界の舞台で堂々と戦う姿を目の当たりにしました。選手たちが自分を信じ、チームを信じて夢を形にしたその瞬間、ほっとした気持ちと共に喜びが溢れました。努力が実を結ぶ瞬間は、何ものにも代えがたい喜びでした。
怒り:敗北からの再起
もちろん、コーチ生活の中で順風満帆な時ばかりではありません。負けた試合後、私は選手たちに感情をぶつけたこともあります。ただ、後になって振り返ると、その怒りの根底には「もっとできるはずだ」という強い気持ちありました。怒りは本質的に負の感情かもしれませんが、そこに他者への信頼や自分への厳しさが含まれているのだと気付いた時、怒りさえも感謝すべき豊かな感情だと感じるようになりました。
哀しみ:仲間との別れ
スポーツをしているチームメイトとの別れはつきものです。一緒に戦ってきた選手たちが、引退や卒業などでチームを離れるときは哀しみと寂しさに包まれます。しかし、その後、元チームメイトたちがラグビーから得た経験を生かし、人生の新たなステージで輝いている姿を見た時、哀しみは次第に温かな感情に変わっていきました。哀しみの先には、成長や希望があるのだと感じた瞬間です。
楽しさ:FEEL FREEでのひととき
そして現在、スポーツバー「FEEL FREE」をオープンしてからは、日々楽しい瞬間をたくさん感じています。予約制で一組限定という特別な空間だからこそ、お客様が思い思いに楽しんでくれる様子を間近で見られる喜びがあります。とある夜、一緒に戦ったチームメイトが試合を観ながら熱い議論を繰り広げる姿を見て、私自身も心から笑い、楽しんだことがあります。「FEEL FREE」は私にとって、喜怒哀楽の豊かさを再確認できる場所です。
人生には山も谷もあります。しかし、それらすべての感情を抱くことで、私たちは心の豊かさを感じるのだと思います。喜びも怒りも、哀しみも楽しさも、どれ一つ欠けても人生の色は薄れてしまうでしょう。
これからも「FEEL FREE」という空間を通じて、訪れる皆さんとともに、豊かな瞬間を分かち合っていきたいと思います。
SPORTS BAR FEEL FREEオーナー
宮﨑 善幸