20代で体験しておきたいこと──人生の転機を作る「放浪」の経験

20代は、社会に出て初めて自由を手にする一方で、自分の生き方に迷いや不安も抱えやすい時期です。そんな時期にこそ、「自分を見つめる時間」や「知らない世界に飛び込む経験」が必要だと感じています。

その一つが、僕が26歳の時に体験した「海外での放浪の旅」でした。行き先はニュージーランド。2週間、一人で旅をしました。これは旅行ではなく、まさに“旅”でした。

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行きと帰りのチケットだけの出発

当時、僕が決めていたのは「行きと帰りの航空券」だけ。宿も交通手段も、現地で何をするかも何も決まっていない。今思えば無謀かもしれませんが、あの時は「なんとかなるだろう」という気持ちで飛び立ちました。

現地に着いてからは、バスに乗って見知らぬ町へ行き、安宿を探し、出会った旅人と話し、地元の人に助けられながら移動を続けました。朝起きて「今日はどこへ行こうか」と考える自由。道に迷ったり、言葉が通じなかったり、時には食事すらどうしようか悩んだり。でも、そんな一つひとつの出来事が、新鮮で、自分の感覚を研ぎ澄ませてくれる体験でした。

知らない世界と、自分の小ささ

この旅で一番感じたのは、「自分は知らないことが本当に多い」ということ。風景、文化、価値観、人との距離感——すべてが新鮮で、自分の中にあった「当たり前」がどんどん崩れていきました。

例えば、日本では無意識にしていた気遣いや礼儀が、逆に距離を感じさせる場面もありました。逆に、笑顔ひとつ、つたない英語ひとつで、ぐっと心が通じる瞬間もありました。

何かを“知る”ことよりも、“知らないことを知る”という体験のほうが、自分の中に深く残りました。

小さな自信が、大きな転機に

旅を終えて日本に帰ってきたとき、感じたのは「自分でも海外で1人でやれるんだ」という小さな自信でした。誰かに評価されたわけではない。何か大きな成果を出したわけでもない。ただ、「知らない国で自分の足で歩いて、ちゃんと生きて帰ってきた」という事実が、自分の中では大きな意味を持っていました。

この経験は、後の人生でも繰り返し支えになってくれています。新しいことに挑戦するとき、「あのとき一人でニュージーランドに行けたんだから大丈夫」と、自然と自分を後押ししてくれる。

放浪の旅は、自分と出会う時間

放浪の旅というのは、目的のない旅です。何かを“達成”するための旅ではなく、むしろ“ただそこにいる”ための旅。だからこそ、見えてくるのは、自分の中にある弱さや未熟さ、でも同時に、柔らかさや可能性です。

社会的な肩書きや役割がない旅の中で、「自分ってこういう人間だったのか」と気づく瞬間がいくつもありました。そして、それを受け入れてくれる世界があるということにも気づけた。

あなたにも、放浪を勧めたい理由

もし今、「自分が何者か分からない」「何かを変えたい」と思っている20代の人がいるなら、ぜひ放浪の旅に出てほしい。全てを決めずに、少しだけ不安を抱えながら、知らない場所へ一歩踏み出してみてほしい。

旅はすべてを解決してくれるわけじゃない。でも、自分で一歩を踏み出し、自分で考え、自分で選んだ経験は、確実にあなたの“核”になります。

僕のニュージーランドの旅がそうだったように、小さな旅が、後に大きな人生の転機となるかもしれません。

SPORTS BAR FEEL FREEオーナー

宮﨑 善幸

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