「気づく」ことの重要性と難しさ

日々の生活やスポーツ、仕事の場面で、私たちは無数の情報に囲まれて生きています。その中で「気づく」という行為は、非常に大きな意味を持ちます。けれども、この「気づく」ことは、思っている以上に難しいものです。気づいていないことに、自分では気づけない——それが「気づき」の難しさの本質かもしれません。

「気づき」にはさまざまな種類があります。たとえば以下のようなものが挙げられます。

  1. 自分が疲れていることに気づく
  2. 相手の表情が少し曇っていることに気づく
  3. チームの空気感が変わってきたことに気づく
  4. 試合中の相手チームの戦術変更に気づく
  5. 自分の発言が相手を傷つけた可能性に気づく
  6. 練習の成果が出始めていることに気づく
  7. 新しい取り組みに対する自分の抵抗感に気づく
  8. 仲間の努力に気づく
  9. 自分の思い込みに気づく
  10. 小さな成功を見逃さずに気づく

これらの気づきは、どれもが成長や前進のきっかけとなります。しかし、それに気づくためには「どこにフォーカスを当てているか」が重要になります。自分の内面に意識を向けるのか、相手に意識を向けるのか、あるいは環境や変化に注目しているのかによって、得られる気づきはまったく異なるのです。

また、「五感」を使って気づくことも大切です。目で見て、耳で聞き、肌で感じ、匂いで気づき、味で知る。五感を開いていなければ、せっかくのサインを見逃してしまうこともあります。そして、その気づきに対してどのような思考をするか、どんな行動につなげるかが、人生やチームを大きく変えていくのだと思います。

私自身、長くコーチという立場で選手たちと関わってきました。その中で強く感じるのは、「気づきは与えるものではなく、促すもの」であるということです。コーチの役割の一つに、「選手が自ら気づくように導く」ことがあると思います。単に答えを与えるのではなく、問いかけや状況設定を通じて、選手自身が「あっ」と感じる瞬間を創る。その瞬間が、選手の成長にとって何よりも価値があると信じています。

ただし、その「気づき」を届けるには、コーチ自身が日々「気づける人間」でなければなりません。自分の感情や態度、言葉選びに気を配り、相手の反応を丁寧に観察する。それは容易なことではありません。だからこそ、気づくことは「尊い」のです。

気づいた瞬間、世界の見え方が一瞬で変わることがあります。逆に、気づかずに通り過ぎてしまうことで、大切なチャンスや人とのつながりを失うこともあります。

「気づく」という行為は、繊細で奥深く、時に痛みを伴います。しかし、その一歩が未来を変える力を持っています。

今日、あなたは何に気づきましたか?

SPORTS BAR FEEL FREEオーナー

宮﨑 善幸

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