コーチと選手の1on1ミーティング

コーチと選手のコミュニケーションには、さまざまな形があります。全体ミーティング、グラウンドでのコーチング、日常の何気ない会話など、その場面は多岐にわたります。目的も、戦術の共有やモチベーションの確認、関係構築など多様ですが、いずれもチームがより良い方向へ進むため、そして選手自身が目標を達成するために欠かせない要素です。

本日は、そうしたコミュニケーションの中でも「1on1ミーティング」についてお話ししたいと思います。1on1ミーティングとは、コーチと選手が一対一でじっくりと話をする時間のことを指します。目的は多岐にわたりますが、共通しているのは「お互いが正直に向き合える時間」になるという点です。

私がコーチとしてキャリアをスタートした頃、経験豊富なコーチたちに「どのように選手とコミュニケーションを取っているのか」をよく尋ねていました。ある時、あるコーチが教えてくれたのがこの1on1ミーティングの重要性でした。部員が100名を超える中でも、15分でもいいから全員と個別に話すこと。そして、その中で得られる情報は、コーチにとって非常に価値のあるものだということでした。

それ以来、私も自ら積極的に1on1ミーティングを取り入れてきました。コーチとしての活動だけでなく、現在行っているメンタリング事業にも、この経験は大いに活かされています。

先日も、私のゼミナールに所属する学生と、落ち着いた空間で好きな飲み物を飲みながら1on1ミーティングを行いました。今感じていること、自分の強みや特技、これから克服したいことなど、学生自身の言葉でたくさんの思いを語ってくれました。私にとっても非常に有意義な時間でした。

もちろん、女子選手との1on1ミーティングを行う機会もあります。ただし、ハラスメントの観点から、男子コーチと女子選手が二人きりで部屋にいることは、大学でもスポーツ現場でも推奨されていません。これは大学教員と女子学生との間でも同様の配慮が求められています。

しかし、私の経験上、選手が本音を語ってくれるのは「真剣に向き合える空間」があってこそです。人目が多い場所では、お互いの感情を率直に言葉にするのは難しいと感じています。もちろん、コーチとしての倫理観と信頼関係の構築が大前提ですが、そのうえで「安心して心の内を話せる場」をつくることが大切だと考えています。

また、コーチとしてチームのメンバー選考結果を伝える場面もあります。選手は試合に出るために日々努力しています。結果として試合に出場できないと知った選手が、一時的に感情をあらわにすることもあります。そんな時、相手の気持ちに寄り添い、感情を受け止められる空間を提供することも、コーチの大切な役割だと思っています。

さらに、選手からプライベートな相談や、今後のキャリアについての相談を受けることも多くあります。そうした話に真摯に耳を傾けるのも、コーチの仕事の一部です。選手が自分自身と向き合い、成長していくためのサポートができる存在でありたいと、常に意識しています。

1on1ミーティングは、単なる会話の時間ではありません。そこには、選手の成長とチームの未来が詰まっています。

これからも、真摯に向き合う姿勢を大切にしていきたいと思います。

SPORTS BAR FEEL FREEオーナー

宮﨑 善幸

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