リーダーシップと自己成長の関係性

リーダーシップとは、一人の力で何かを成し遂げることではありません。周囲に良い影響を届け、ともに目標へ向かって進んでいく力です。リーダーシップには様々な形があり、リーダー像も人それぞれですが、共通して言えるのは「リーダーは常に成長し続けることが求められる」ということです。

私はこれまで多くの選手、そして指導者と向き合ってきました。その中で強く感じるのは、自己成長を止めた瞬間にリーダーシップは停滞し、やがて周囲にもその影響が及んでしまうという現実です。

現在、私の研究テーマのひとつに「ハイパフォーマンスコーチのピークアウト」があります。これは、過去の栄光や成功体験、かつての指導法にとらわれ、新たな挑戦や学びをやめてしまったときに、コーチとしての成長が止まり、ピークアウトが始まるのではないかという仮説に基づいています。

選手にピークがあるように、コーチにもピークがある。だからこそ、私たちコーチは常に自分自身をアップデートし続ける必要があります。そして、コーチ自身が成長し続けることこそが、選手の成長を支える大きな基盤になるのです。

ラグビーは、特にキャプテンのリーダーシップがチームに与える影響が大きいスポーツです。試合中の判断、言葉、行動で仲間を導くキャプテンにとって、自己成長を止めないことは極めて重要です。キャプテンが成長すれば、チームも確実に成長します。

ただし、キャプテンは常に強くある必要はありません。むしろ、チームの最前線に立つからこそ、不安や葛藤を抱えるのは自然なことです。だからこそ、キャプテンに対するメンタルサポートが非常に重要になります。

私は指導者として、キャプテンとは定期的に対話の時間を設けるようにしてきました。選手たちとは違い、キャプテンはあえて“特別扱い”してきました。うまくいかないこと、プレッシャー、チームの方向性に対する迷い——そうした悩みを一人で抱え込まずに話せる環境が、どれほどキャプテンにとって心強いかを、私は身をもって知っています。なぜなら、私自身が高校・大学時代にキャプテンを務めていたとき、たった一人でも相談できる存在がいたことで、どれほど救われたかを今でも鮮明に覚えているからです。

「キャプテンとしてどうあるべきか」ではなく、「一人の人間として今どう感じているのか」に耳を傾けること。そこから本音の対話が生まれ、お互いが成長していくきっかけになります。

リーダーであるからこそ、迷い、立ち止まる瞬間もある。けれど、そのたびに自分と向き合い、また一歩前へ進む。その力を持ち続けることが、リーダーの本質だと思います。そしてその過程を支えるのが、コーチの役割であり、チームの文化でもあるのです。

自己成長とは、常に変化を受け入れ、柔軟に学び続ける姿勢そのものです。キャプテン、そして指導者自身もその姿勢を持ち続けることで、チームはより強く、しなやかに成長していけると信じています。

FEEL FREEは、そんな「成長し続けるリーダー」が集い、語り合い、エネルギーをチャージできる場所でもありたいと願っています。自分自身を磨く旅に終わりはありません。その旅路をともに楽しめる仲間と、これからも学び合っていきたいと思います。

SPORTS BAR FEEL FREEオーナー

宮﨑 善幸

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