転機をポジティブに捉える心構え

人生には、いくつもの「転機」が訪れます。誰しもが経験するものですが、その捉え方によって、その後の道は大きく変わっていくものです。今回は、私自身が27歳のときに経験した大きな転機についてお話させていただきたいと思います。

私は26歳のとき、母校である国際武道大学スポーツトレーナー学科で期限付き助手として働き始めました。これが私にとって初めての就職であり、世間一般でいう社会人スタートの時期としては、少し遅いスタートだったかもしれません。

この仕事は2年間の任期付きでしたが、実際には延長の可能性もあるものでした。私は、「国際武道大学ラグビー部を日本一にする」という大きな夢を抱きながら、研究、教育、クラブ指導に全力を注いでいました。任期の延長が当然のようにあると思っていた私は、2年後、契約終了の知らせを受けたとき、まるで地面が崩れるような不安と寂しさに襲われました。今でもあの時の感覚は鮮明に覚えています。

しかし、落ち込んだ後に冷静に自分を見つめ直す時間を持つことで、大きな気づきを得ることができました。それは、「自分にはまだまだたくさんの可能性がある」ということです。

アスレティックトレーナーの資格を活かして活動する道、ラグビーのプロコーチとしての道、大学院で学んだS&C(ストレングス&コンディショニング)を生かす道、研究者として歩む道、専門分野で講師を務める道、そして未知の新たな分野へ挑戦する道など。可能性は一つではなく、無限に広がっていました。

また、自分の活躍の場が千葉県勝浦市だけに限られているわけではなく、日本全国、さらには世界にも広がっていることにも気づきました。実際、50歳になった今、上記のすべての道を歩ませていただき、現在の自分があると実感しています。

ですから、あのとき任期が延長されなかったことに対して、今では心から感謝しています。あの経験があったからこそ、自分と深く向き合い、本当の意味での「自立」や「挑戦」に踏み出すことができたのです。

ただし、無理にポジティブになろうとする必要はありません。人は落ち込むときには、しっかりと落ち込むことも大切です。そのどん底の中から、「ならばどうするか」と前を向く力が生まれてくるものです。冷静に、フラットに、自分自身と向き合うことで、必ず新たな可能性に気づけるはずです。

私がいつも思い出すのは、千葉県勝浦市の「とんかつ山本」のおじさんの言葉です。

「この世のことはこの世でおさまる」

要するに、起こることのほとんどは、後になってみれば大したことではなく、そしていつか誰かが助けてくれるものだということです。

人生には失敗や悔いがつきものです。しかし、それらと真摯に向き合い、改善し、反省して生きていくことで、自分の中にある無限の可能性がどんどん開かれていきます。

もし、いま転機を迎えている方がいたら、それは「最高のチャンス」です。焦らず、自分自身としっかり向き合い、そして信頼できる人にぜひ相談してみてください。

最後に、この言葉を贈ります。

「転機こそが、自分の可能性を広げる最大のチャンスである」

私は今でも母校を愛し、感謝しております。

本当に素晴らしい機会をありがとうございました。

SPORTS BAR FEEL FREEオーナー

宮﨑 善幸

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