チームで楽しさを創る方法

「楽しむ」という言葉には、人それぞれ異なる解釈があると感じています。
私自身、コーチとして「もっとゲームを楽しもう」と選手たちに声をかけてきたことがあります。しかし、高いレベルの競技、いわゆるハイパフォーマンススポーツにおいて、「楽しむ」という言葉の定義は決して「楽(らく)」をすることではありません。
私が考える「楽しむ」とは、スポーツという非日常的な空間で、これまで積み重ねてきた努力を発揮すること、そして思い通りにいかない状況をも前向きに味わうことです。
そもそもスポーツという言葉は、ポルトガル語の「desportar(デシュポルタール)」を語源としています。これは「日常から離れる」「気晴らしをする」といった意味を持つ言葉です。つまり、スポーツは日常のルーティンや制約から解放された特別な空間なのです。
この非日常の場に身を置き、自分たちが取り組んできたことを試合という本番で試す。そしてそこには常に「相手」がいるため、思い通りにはいきません。その難しさこそが緊張感を生み、そしてそれを乗り越えようとする挑戦が「楽しさ」につながるのだと、私は思っています。
私はこれまで、長くラグビーというチームスポーツに関わってきました。その中で「チームで楽しさを創る方法」として大切にしてきたのは、まず「チームワード」を設定することです。シーズンごと、合宿ごと、テーマやキーワードを決め、それにチーム全体でフォーカスしていくことで、選手・スタッフの方向性を一つにすることができます。
もちろん、勝つことは大切ですし、勝利を目指して全力を尽くします。しかし、勝敗というものは完全にはコントロールできません。コントロールできるのは、自分たちがどれだけ準備してきたか、それを本番でどれだけ出し切れるかという「パフォーマンス」の部分です。
だからこそ、一回一回の勝負に謙虚になること。相手の強さや格、名前に関係なく、「自分たちは何で勝つのか」「どんなプレーに自信を持っているのか」にフォーカスしていくことが、チームとしての楽しさを育む鍵になります。
そして、選手がグラウンド上でこれまでの努力を全力でパフォーマンスとして表現してくれたとき、それを目の当たりにした観客の皆様は、胸を打たれ、感動し、本当の「楽しさ」を感じてくださるのではないかと思います。
その瞬間、選手、スタッフ、そして応援してくださる方々が一体となって「チーム」になるのです。これこそが、スポーツの持つ力であり、楽しさを創る根源だと信じています。
これからも、そんなチームのあり方を追求し続けていきたいと思います。
自分たちを信じて戦い抜いた選手・スタッフ、そして勝利を信じて応援してくださった皆様に敬意と感謝をいたします。本当にありがとうございました。
SPORTS BAR FEEL FREEオーナー
宮﨑 善幸