幸せを感じる日常の小さな出来事

幸せを感じる瞬間は、決して特別な場面だけにあるわけではありません。むしろ、何気ない日常の中にこそ、心がじんわりと温かくなるような出来事がたくさんあります。

私は23歳の頃から、人の成長に関わる仕事をしてきました。大学や専門学校での教育現場、ラグビーの指導、そして指導者の育成など、さまざまな場面で若者たちと向き合ってきました。

最近、スポーツコーチングゼミナール出身の卒業生とオンラインで話す機会がありました。彼は現在、新卒1年目として社会人生活をスタートさせながら、将来の教員を目指して教員免許の取得にも励んでいます。さらに、母校のラグビー部でコーチも務め、自らの経験を後輩たちに還元しようと、日々まっすぐに取り組んでいます。

彼は学生時代から、「どうすれば成長できるのか」「やりたいことを実現するには何をすべきか」といった問いを、よく私に投げかけてくれていました。その前向きな姿勢は社会人になってからも変わらず、自分の成長のために時間をどう使い、どう学び続けていくかを真剣に考え続けています。

そんな彼に、学生時代のゼミナールの何気ない授業の中で、私はこう伝えたことがあります。「自己成長のために、年収の10%を自己投資に使ってみてはどうか」と。さらに、「将来の目標年収の10%を早い段階から先取りして投資する」という考え方も共有しました。

そして今回の会話の中で、彼が「自己投資はすでに実践しています」と話してくれたのです。実際に彼は、自分のお金を使って、後輩のラグビー部員に少しでも栄養価の高い食事をとってもらえるよう支援したり、自分の強みである“話を聴く力”を活かして、後輩たち一人ひとりと向き合う時間を大切にしていたりと、自分自身だけでなく、周囲の成長にも意識を向けていました。社会人1年目にして、仕事と学びに全力を注ぎながら、誰かのことを考えて行動している姿に、私は深く心を打たれました。

彼が、「立正大学に進んで本当によかったです」と語ってくれたとき、私には幸せな感情が湧き上がりました。「○○に行ってよかった」「○○に関われてよかった」という言葉を聞けることが、私にとって何よりの喜びです。

彼のように、自分で考え、自分で選び、自分の意志で行動している姿を見たとき、人は本当に自らの力で成長していくのだと感じます。その歩みのどこかに、少しでも私との関わりがあったのだとすれば、こんなに嬉しいことはありません。

人は、目指す場所にすぐにはたどり着けません。けれども、日々の小さな積み重ねが、やがて大きな成長へとつながっていきます。自分を信じて、目の前の一歩を丁寧に進んでいく。その姿に出会えたとき、私は静かに、でも確かに「幸せだな」と感じるのです。

こうした日常の中にある小さな出来事が、私にとってかけがえのない宝物です。そして、それこそが、私がこの仕事を続けている理由なのだと、あらためて実感しています。

SPORTS BAR FEEL FREE オーナー
宮﨑 善幸

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