他者の視点から見た自分とは?

自分のことを一番見えていないのは、自分自身かもしれません。

「自分を知る」ということは、生きていく中でとても大切なテーマです。しかし、どれだけ自己分析をしても、どれだけ内省を繰り返しても、私たちが完全に自分自身を理解することは難しい。なぜなら、人は無意識のうちにさまざまな行動や発言をしており、それらは自分にとっては“普通”でも、他者から見るとまったく違う印象を与えていることがあるからです。

例えば、ある人にとって「ハキハキと意見を言うこと」は良いこと、正しいことだと感じていても、それが相手には「攻撃的」「圧が強い」と受け止められることがあります。逆に「遠慮して発言を控える」姿勢が、「やる気がない」と見なされることもあります。このように、自分にとっての“当たり前”は、他者にとっての“違和感”になる可能性があるのです。

ここで注意すべきなのは、「他者の評価を気にしすぎない」ということと、「他者の視点から自分を理解する」ということは、まったく別物だということです。

評価を気にしすぎると、どこかで自分らしさを失ってしまいます。他人の目ばかりを意識しすぎると、行動が萎縮し、自分の軸がぶれてしまう。これは、リーダーやコーチにとって特に気をつけたいポイントです。

一方で、他者の視点を理解するということは、他人が自分の行動をどう見ているのか、どんな影響を受けているのかを知ること。それは、より良いコミュニケーションを築き、信頼関係を深めるうえでとても大切なヒントになります。

人間関係は、独りよがりでは成り立ちません。チームをまとめる時、仲間と協働する時、家族や友人と接する時も、相手の立場や気持ちに想像力を持ち、行動できる人は、周囲との関係性が自然と豊かになります。自分の行動が相手にどのように映っているのか、一歩引いて見つめ直してみることで、新しい気づきが得られることもあるでしょう。

とはいえ、「空気を読みすぎる」ことにも注意が必要です。ときには自分の意志をしっかり持って、周囲に流されずに行動することも大切です。他者の視点を受け入れながらも、自分の信念は見失わない。そのバランスが、成熟した人間関係を築く鍵だと思います。

私自身、これまで多くの人と関わる中で、他者の視点にハッとさせられることが何度もありました。時に厳しい指摘もありましたが、それが自分を見直す貴重な機会になりました。そして、周囲の声に耳を傾けることで、より人として成長するチャンスが増えていったように感じます。

「自分らしく生きる」とは、「自分勝手に生きる」ことではありません。他者との関係の中で自分を磨き、他者から見た自分も受け入れていく中に、本当の意味での“自分らしさ”があるのではないかと思います。

今日も、誰かの視点から見た自分をほんの少しだけ意識してみませんか?
その気づきが、きっとあなたの世界を優しく広げてくれるはずです。

SPORTS BAR FEEL FREEオーナー

宮﨑 善幸


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