失敗を振り返ることで学んだこと

「反省をする」――スポーツでも日常でも、よく耳にする言葉です。ですが私は、反省と同じくらい、いや、それ以上に大切なのが「内省」だと考えています。
反省と内省の違いを整理してみましょう。
「反省」とは、主に失敗や誤りに焦点を当て、その原因を分析し改善することを目的とする行為です。一方で「内省」は、良い点も含めて自分の思考や行動全体を客観的に見つめ直し、新たな気づきを得て自己成長につなげることを目指すものです。つまり、反省は「悪かった部分の修正」、内省は「全体を振り返り次に生かす学び」です。
スポーツの現場で選手を見ていると、同じ失敗を何度も繰り返してしまうケースがあります。たとえば、パスの精度が上がらない、タックルの入り方が毎回遅れる、あるいは試合終盤に集中力を欠いてしまうなど。コーチとしては、その失敗をどうフィードバックし、改善へと導くかが重要になります。
フィードバックにはいくつかの視点があります。
- 技術的な視点:フォームや動作の修正、基本動作の徹底。
- 戦術的な視点:状況判断、チーム内での役割理解。
- 体力的な視点:基礎体力やスピード、持久力の向上。
これらはいずれも欠かせませんが、私が最も大切にしているのは 思考的な視点 です。
スポーツは挑戦の連続です。失敗から学び、次に少し違うアプローチを試す――この繰り返しが成長を生みます。ところが、ただ「また同じ失敗をした」と終わらせてしまえば、選手は足踏みしてしまいます。そこで必要なのが内省です。
「なぜ失敗したのか?」を問うだけでなく、
「次にどう工夫できるか?」
「自分の強みを活かせる方法はなにか?」
と考えさせることが、選手を前進させる鍵になります。
私がコーチングで大切にしているのは、選手自身が気づきを得られるような問いかけをすることです。コーチが一方的に答えを与えるのではなく、選手の頭と心を動かすサポートをする。その積み重ねで、選手は「失敗=成長の種」と捉えられるようになり、挑戦を恐れなくなります。
内省によって成長を続ける選手と、同じ失敗を繰り返して足踏みしてしまう選手。その分かれ道は、コーチの関わり方に大きく影響されます。だからこそ、私たち指導者は「失敗を改善するための反省」に留まらず、「次の可能性を引き出すための内省」を促す姿勢を持ち続けたいのです。
失敗を振り返ることは、誰にでもできることです。しかし、そこから未来につながる学びを得るかどうかは、自分自身の内省の質にかかっています。挑戦し続ける限り失敗は避けられません。だからこそ、失敗を「成長のきっかけ」に変えるために、私たちは反省と内省の両輪を大切にしていきたいと思います。
SPORTS BRA FEEL FREEオーナー
宮﨑 善幸