20代で身につけたい「人に甘える力」

20代の自分を振り返ると、本当に多くの人に甘えてきたなと思います。
ここでいう「甘える」というのは、ただ依存することではありません。私にとって甘えるとは、「頼る」「弱みを見せる」「さらけ出す」「お願いする」「わがままを言う」——そんな、人との間に素直な距離感を作る行為全般を含んでいます。

大学時代、私は先輩に「お腹が減りました!夕食を奢ってください!」と平気で言える後輩でした。
今考えるとずいぶん図々しいですが、当時のかっこいい先輩たちは「よし、行こう!」と笑って連れて行ってくれ、思い切り食べさせてくれました。そして帰り際にはこう言ってくれました。
「これは俺に返さなくていいから、後輩に返してやってくれ」
体育会系の世界では珍しくないやり取りかもしれませんが、私は本当に素敵な先輩たちに囲まれていたと思います。

最近、大学の卒業生から「自分の不安な部分をサポートしてほしい」と連絡をもらいました。
頼ってもらえることは、とても嬉しいことです。ですが、人によっては「頼る」「甘える」ことに気が引けてしまい、なかなか行動に移せない場合もあります。

私の場合、幸いにも昔から「甘え上手」と言われるほど、自然に人に頼ってしまう性格です。
ただ、年齢を重ねて感じるのは、この“甘える力”は若いうちに訓練しておくと、後々大きな財産になるということです。

なぜなら、人は一人でできることに限界があるからです。
どれだけ優秀で、どれだけ努力家でも、必ずサポートや助言が必要になる瞬間があります。そんな時に素直に「助けてください」と言える人は、チャンスをつかむのも早い。逆に「迷惑かもしれない」「情けないと思われるかも」と考えて動けない人は、せっかくの機会を逃してしまいます。

甘える力は、人間関係の中でしか磨けません。
相手に甘えることで、自分の弱さや本音を見せることになり、それが信頼関係を深めます。信頼があれば、また次も助けてもらえる。そして今度は自分が誰かの力になれる。そうやって助け合いの循環が生まれます。

もちろん、甘えるには礼儀や感謝の気持ちが欠かせません。
もらった優しさは、必ず自分より若い世代や、困っている人に返す。それが“甘えの恩返し”です。私も大学時代に先輩からもらった恩を、今の学生や後輩に返すように心がけています。

20代は、まだ経験も知識も足りない分、たくさん甘えられる時期です。
だからこそ、その期間に「甘える練習」をしてほしいと思います。仕事で行き詰まった時、人生の選択に迷った時、プライベートで困った時——自分一人で抱え込まずに、勇気を持って頼ってみてください。

私もこれからも、誰かに甘えて、誰かに甘えられる関係を大切にしていきます。
20代の皆さん、私はいつでも甘えてくれるのを待っています。

SPORTS BAR FEEL FREEオーナー

宮﨑 善幸

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