転機を通じて得た新しい人間関係

人生の中で「転機」と呼べる瞬間は、誰にでも訪れるものです。
そのタイミングは、自分の努力によって訪れることもあれば、予期せぬ出来事がきっかけになることもあります。そして、その転機にどう向き合い、どのような人と出会い関係を築けるかによって、その後の人生は大きく変わるのだと私は感じています。

私にとって大きな転機の一つは、2016年リオデジャネイロオリンピックに帯同した後のことでした。オリンピックという舞台はもちろん特別な経験であり、多くを学びました。しかし同時に、「自分がさらにコーチとして成長していくためには、新しい視点と環境が必要だ」と強く思うようになったのです。その思いから、2017年にナショナルコーチアカデミー(NCA)を受講し、改めてコーチングを学び直すことを決意しました。

NCAでの学びは、まさに私の人生における「新しい扉」でした。ラグビーという枠の中だけで活動してきた私が、そこを一歩飛び出し、スポーツ界全体の指導者たちと出会う機会を得られたのです。

共に学んだ仲間は、体操、ソフトボール、柔道、さらには冬の競技など、多岐にわたる分野の指導者でした。競技は違っても、選手を育て勝利を目指すという根本の課題は共通しています。共に学ぶなかで「自分だけの悩みだ」と思っていたことが、実は多くのコーチに共通する悩みであると知り、大きな支えになりました。

さらに驚かされたのは、すでに金メダルを獲得しているような世界的な実績を持つコーチであっても、学びに対して貪欲であり、まるで初心者のように謙虚な姿勢で取り組んでいたことです。その姿を間近で見ることで、「まだまだ自分も学び続けなければならない」と強く刺激を受けました。成功者の謙虚さこそ、本当の成長を支えているのだと実感した瞬間でした。

また、ラグビーという競技そのものについても、多くの方々から温かい評価をいただきました。「ラグビー界の人間性」や「仲間を大切にする文化」に共感してくださる方が多く、その言葉をいただくたびに、自分がラグビーに携わってきたことに誇りを持てました。同時に、その価値を他競技や社会に広げていく責任もあるのだと強く感じました。

こうした学びや出会いを通じて築いた新しい人間関係は、今も私の大切な財産です。NCAで知り合った仲間とは、競技の枠を越えて意見交換を続けていますし、時には悩みを相談し合うこともあります。同じ「スポーツで人を育てる」という志を持つ者同士だからこそ、競技を越えた深い絆が築けるのだと思います。

人生において転機は必ずやってきます。そのときに自分を閉じ込めず、勇気を持って新しい一歩を踏み出せば、思いがけない人との出会いが待っています。そしてその出会いが、自分の未来をより豊かにしてくれるのです。私はNCAでの経験を通じて、それを心から実感しました。

これからも転機を恐れるのではなく、チャンスとして受け止めていきたいと思います。そして、その中で築かれる新しい人間関係を大切に育みながら、自分自身の成長へとつなげていきたいと考えています。

SPORTS BAR FEEL FREEオーナー

宮﨑 善幸

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