小さな親切が大きな自己肯定感を生む

「親切」という言葉を聞くと、大きな行動を思い浮かべる方もいるかもしれません。ですが、私が最近感じているのは、ほんの小さな親切でも相手の心を温め、そして結果的に自分自身の心を満たしてくれるということです。
もちろん、押し付けがましい親切ではなく、あくまで「少しでもこの人が助かるのではないか」と思って声をかける。そんな小さな行動の積み重ねが、自分の自己肯定感を育ててくれるのだと気づきました。
先日、ラグビーの合宿地として有名な場所を訪れたときのことです。荷物を抱えながら急な坂を登っている女性二人組がいました。私は最初、横を通り過ぎました。しかし「このまま見て見ぬふりでいいのか」と心が動き、車を停めて戻り、「もしよろしかったら上までお乗りになりますか」と声をかけました。
見た目が大柄で強面な私は、どうしても初対面の方に警戒されてしまうのではないかと普段から思っています。ですがそのお二人はとても嬉しそうに笑顔を見せ、車に乗り込んでくださいました。そして別れ際に「このご恩は忘れません」と言っていただき、私の方が「ありがとうございます」と感謝の気持ちでいっぱいになりました。
また、駅の長い階段で大きな荷物を抱えて苦労されている高齢の方を見かけたときもありました。そのときも「よろしければお手伝いします」と声をかけ、荷物を下まで運ばせていただきました。その方も「本当に助かりました」と喜んでくださり、その笑顔を見た瞬間、私の心も温かくなりました。
50年以上生きてきて、私は「人は一人で生きていけない」という事実をますます実感しています。だからといって「他者のために生きる」という大げさなことを言うつもりはありません。ただ「他者のことを考えて生きる」という姿勢が、自分自身を大切にすることにもつながるのではないかと思うのです。
自分がやってもらって嬉しいことを、まずは自分から行動に移す。そんな気持ちがあれば、相手にとっても自然で心地よい親切になるのだと思います。
確かに今の世の中、優しさを装った詐欺やトラブルもあります。だからこそ、見ず知らずの人に声をかけるのは勇気がいる時代です。それでも「見て見ぬふりをするより、できることをやってみよう」と私は考えています。その小さな一歩が、結果的に「自分は人の役に立てた」という自己肯定感を生み、また次の行動につながるのだと信じています。
小さな親切は、相手の心を少しだけ軽くするだけでなく、自分自身の心も満たしてくれる。そんな喜びをこれからも大切にしながら、生きていきたいと思います。せっかく大きくて元気な身体をいただいて生きているのだから!
SPORS BAR FEEL FREEオーナー
宮﨑 善幸